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染めのまち・本能 – 職人の技を生かした景観づくり

本能のまちに咲くのれんの華

染めのまち本能が、暖簾フィールドミュージアムとして古都のまちを彩った。日本の伝統色である浅葱、山葵、土器、黄朽葉、胡桃、蘇枋、中縹・・・など40色。11月11日・12日に開催された地域発信イベント「おいでやす染めのまち本能」(※1)の一環として企画され、メイン会場である本能館(※2)前の油小路通りの町家軒先に色とりどりの暖簾が掛けられた。

暖簾は匠の技を「見せる」だけでなく、子供からお年寄りまで、地域の人々から観光客まで、すべての人が学び楽しめる工夫を考えた。暖簾は日本の伝統色に染められ、染め色の名前が漢字で白抜きしたデザイン。難しい伝統色の読み方は、暖簾の傍に置かれているスタンプを押せばひら仮名で答えがわかる仕掛けとし、「のれんスタンプラリー」でいろいろな色のスタンプを集めると自分だけの色辞典となるスタンプ帳も準備した。

本能学区では、本能まちづくり委員会(※3)などを中心に地域活動がひじょうに活発であり、2006年度には内閣官房都市再生本部の全国都市再生モデル調査(※4)の対象となっている。その一環として「新たな通り景観の提案とその効果の検証調査」をイベントに合わせ、通り景観を彩る実験的取組として実施されたものが今回の暖簾の企画である。

今回我々が参画するきっかけとなったのは、18年8月に竣工した本能特養のサイン計画で地域の技を活かすため暖簾を取り入れたこと。地域の染め職人と協働した暖簾サインがSDA賞の奨励賞を受賞したこともあり、通り景観を彩る仕掛けづくりとしてのアイデアとデザインなどが我々に依頼された。イベント企画の具現化や、暖簾製作、暖簾の町家の取付け作業など、地域の方々、染めの職人、まちづくりに関わる大学の研究室などと度重なるワークショップにより、試行錯誤しながら手づくりのイベントづくりを進めていった。

新しい施設が地域の交流拠点として定着し、次々と企画されるイベントを通して、まちに似合う景観づくりやコミュニティの形成そして次代を担う人の育成にもつながっている。まちの拠点施設の設計者である我々が、新しく繰り広げられる数々のドラマを通じて、ここ本能の地域から学ぶべき点はひじょうに多い。今後も歩いて暮らせるまちづくりに関わり続け、地域の人々の笑顔という華をたくさん咲かせたい。

大阪事務所 設計部 森 雅章

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(※1) おいでやす染めのまち本能

毎年春秋に開催。本能館を拠点に、「公開工房ツアー」「染の体験工房」「地域の匠の技 実演コーナー」「マイキモノプロデュース」など染めに関するイベントが目白押し。

(※2) 本能館

京都市本能特別養護老人ホーム・京都市立堀川高等学校本能学舎の通称。平成18年8月に竣工した複合施設。本能学区の自治会館が併設。

(※3) 本能まちづくり委員会

旧小学校単位である本能学区の自治会組織のひとつで、「住みよいまち・育てたいまち・働きたいまち」をめざし活発な活動が行われていた。(2012年3月31日解散)

(※4) 全国都市再生モデル事業

全国541件の応募で、選定された154件のうちのひとつ。本能まちづくり委員会の提案は「交流から生まれる地域の新たな担い手及びストックを活かした産業基盤の形成調査」。

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