建築から学ぶこと

2014/04/09

No. 420

魅力的な顔ぶれ

アメリカのビジネス情報誌Fast Companyによる記事<The World’s Top 10 Most Innovative Companies In Architecture (2014)>をネットで見つけた。リストアップされているのは興味深い顔ぶれで、デザインを通して不動産活性化に切り込むSHoPアーキテクツや、同じくニューヨークに拠点を置き、独自の視角で人気を誇るディラー・スコフィディオ+レンフロがいる。世界を席巻する女性建築家としてザハ・ハーディドの事務所、そしてアマンダ・レヴェットの事務所。欧州派では彼女らのほかにMVRDVが堂々と名を連ねる。さらに見ると、ニューヨーク発のディヴィッド・ロックウェル、LA発のクリーヴ・ウィルキンソン、シアトル発のNLアーキテクツといった勢いを感じる名前がある。1943年に始まる大手組織NBBJは懐の深い動きをしている。ニューヨークのピーター・グラック(GLUCK+)のように、建築家が建設プロセスすべてをコントロールする取り組みは独自のものであろう。

なかなか多彩だが、デザインや技術の切れ味ならまだまだ候補はいる。確かに2013年版ではアラップやノーマン・フォスターの事務所、中国のワン・シュウの事務所らの名前があり、じつは厳密な選考基準ではなく、意識的に視野を拡げて選んだのかもしれない。しかし今年の10者を見れば、アイディアの新鮮さとともに設計組織運営に覚悟を決めているようではある。彼らに仕事を依頼するクライアントは、それぞれが結果を出してゆく独自のプロセスに信頼を寄せていると感じる。

建築設計のプロはビジネスとして成功する経営者にちがいない。本拠地での仕事で生みだした技術力と問題意識からスタートし、やがてアウェーで壁に当たると、そこで生き抜く知恵を探り当てている。結果として普遍性のある力を獲得した彼らから学べることはたくさんある。

佐野吉彦

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