建築から学ぶこと

2015/02/25

No. 463

レッドスターの走り出すところ、北陸。

私にとっての北陸のイメージは赤である。それは1961年に北陸本線で供用開始したEF70、あるいはED74などの交流用電気機関車の車体色から来ている。赤いレールスターは1962年に開通した北陸トンネルが導いた北陸路高速化を象徴するものだった。北陸トンネル工事をめぐる記録をワクワクしながら読んでいた小学生の私は、いつか出会いたいものだと思った。直流電化区間が大勢の関西地区では交流電機の姿を見ることはできず、長らく米原の北の坂田駅付近が交流電機の「南限」だったのだ(今は米原―敦賀まで直流区間に変わっている)。

それゆえ、赤い電機が颯爽と走る姿を見たときの感動は忘れない。当時は大阪から北陸本線の長距離列車に乗ると、糸魚川から先は直流区間なので青い電機に変わり、新潟を越えるとディーゼル機関車という衣替えがめまぐるしく起こった。やがて1982年に上越新幹線が開通、1997年に北越急行がショートカットし、北陸はJR東日本とJR東海、空路がしのぎを削りあいながらスピードアップが進んできた。そして今年の北陸新幹線開業である。これは主戦場に満を持しての登場と言えるだろう。

ところで北陸、特に金沢は多くの「華」を生んできた土地である。金沢に限っても、建築家では谷口吉郎、大阪の建築界と人材を育てた片岡安。谷口父子の作品、村野藤吾の北國銀行武蔵が辻支店金沢21世紀美術館ら名作も金沢に揃っている。これらに西田幾多郎、中谷宇吉郎、泉鏡花、室生犀星らの知性を加え、ついでに野球の松井秀喜を含めると、実にきらびやかではないか。今回の北陸新幹線外装は青と銅色で穏やかにまとめているが、もっと華やかでいいかもしれない。赤のイメージには北陸を牽引する力がある。

佐野吉彦

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