建築から学ぶこと

2017/09/13

No. 589

ソウルで響くもの:UIA2017ソウル大会

先ごろ、UIA(国際建築家連合)大会がソウルで開催された(9/3-10)。これまで、3年に1度の開催をクライマックスとして、UIAは建築家の相互交流、加盟国の固有制度の横通し・共通言語づくりを進めてきた。歩みの中では、1999年北京大会での「建築実務におけるプロフェッショナリズムの国際推奨基準に関するUIA協定」は、その後のグローバルな活動基盤を形成する重要な意味を有するものだった。2011年、東日本大震災の年の秋に開催された東京大会では、災害克服がキータームに位置づけられた。この大会の時期に故・稲葉武司さんが携わっていた「UIA建築と子供ワークプログラム」も活動のバトンがしっかり受け継がれている。このようにUIAは普遍的なテーマを意識してきたのだが、このところは国連ハビタットと連携して社会の質の向上のために明瞭なメッセージを発信している。そうした推進力、継承してきた事業の価値は次の世代や新しい大会主催国にバトンが渡っても、揺らいでいないように感じられる。
さて、私は東京大会では大会運営部会長であったこともあり、ソウル大会に出向いてみると、ことさら感慨深いものがあった。ソウルは東京大会で開催地に選ばれたので、韓国の主催団体の人たちは、フォーマルな場のあいさつで、必ずそのことを前置きしている。私個人に対しても、2011年の経験は参考になったよ、と直接に感謝の言葉があった。当時、運営の傍らでまとめた細かい公式大会記録が役に立ったようであり、私にとっては嬉しさに限りがない。
大会ではドミニク・ペローらの講演や多彩な発表の場があり、多様で刺激的な響きに満ちていた。UIA大会はやがて2年に1度の開催になるという話もあるが、世界が直面する課題を先取りしながら、建築家の活動をぶ厚く支えていってほしいものだ。

佐野吉彦

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