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佐野吉彦
建築から学ぶこと
No.239 プラットフォーム

2010年7月28日

このことば、はやりである。ユーザー向けサービスに異なる企業が協働してコンテンツを充実させるときに使われると、前向きなイメージを発信できる(IT系にしばしば見られる)。本音がビジネスの合理化のための協力という場面であっても、時にネガティブな印象を消す効果もありそうである。最近は行政や政治家が使うこともあるけれども、もともとは民間発の、行動が伴ったワードと言える。

一方で、私はこのような「プラットフォーム」の語感から、巨大ターミナル駅のプラットフォームでさまざまな行先・等級の列車が発車を待っている光景を連想してしまう(ただし、高い台という意味で使われたものだし、呼ばれ方はプラット「ホーム」である)。従って、異なる分野に縁ができることには敬意を表するけれども、日々扱われるプラットフォームができたというニュースに、もちろん一時的なことではないよね?と思ってしまうのである(概ね、ターミナル駅には永続的なイメージがあるから)。

さて、日本建築学会の佐藤滋会長は「建築界のプラットフォームとしての役割を果たしたい」と国内に呼びかけ(2010年年頭所感)、日本建築家協会の芦原会長は「多様な協働のためのプラットフォームを構築したい」と国際的な場面(第234回で紹介)で述べている。両者のニュアンスは多少異なるが、どこか響きあっていることは間違いない。これが所属団体をまたいでゆく戦略かと読むと生々しくなるけれども、それぞれが原則論や排外的な視点と離れたところで運営を進めると理解するなら、建築界全体に良好な空気が醸成されるだろう。

私が考えるには、永続的であるべきプラットフォームとは、火急のときにこそ働くものだ。普段の行動はばらばらだって構わないのだが、急なビジネス環境変化・クレーム対応・災害支援や国際協力などのような緊迫性のある場面で機能するために、無理のない日常協力を整えておくところに本質があるのではないか。ゆめゆめ、プラットフォームが懐しい流行語とならないようにしたいものである。

佐野吉彦
第二の基盤?: 「ネイチャー・センス」展(森美術館)にて、栗林隆の作品
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