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内覧会で石田教授と佐野が対談『建築家・安井武雄の創造力~近代大阪の精華~』展

11月10日の当コーナーでもお知らせの通り、現在、当社創業者・安井武雄の展覧会『建築家・安井武雄の創造力~近代大阪の精華~』が、大阪府立中之島図書館で開催中です。(会期:12月26日まで)

11/30内覧会での展示室

12月1日(金)からのスタートに際し、前日11月30日(木)にメディアを中心とした内覧会を実施しました。内覧会では、同展覧会の趣旨・内容をより深く、楽しくご覧いただけるよう、今回「監修」をお願いした京都工芸繊維大学の石田潤一郎教授と当社の社長・佐野吉彦によるトークイベントを開催しました。
12月8日(金)の日刊建設工業新聞で、そのようすを詳しくレポートしていただきました。同新聞社の許可をいただき、記事の全文(テキスト)をここで転記、ご紹介させていただきます。
これから本展覧会にお越しいただく方に「安井武雄展の見どころ」の参考としていただければ幸いです。
なお、写真に関しては同紙掲載のものではなく当社で撮影したもので、また、主要3作品の写真は本展覧会で撮り下ろししていただいた写真家・淺川 敏氏の「今の3作の表情」でアレンジし、以下でご紹介します。

 

大阪で「建築家・安井武雄の創造力」展
対談/安井建築設計事務所社長:佐野吉彦氏 × 京都工芸繊維大学教授:石田潤一郎氏
安井建築設計事務所が主催する「建築家・安井武雄の創造力 近代大阪の精華」展が大阪市北区の大阪府立中之島図書館で1日、開幕した。開幕前日の11月30日の内覧会では、同社の佐野吉彦社長と展示監修者の石田潤一郎京都工芸繊維大教授が対談。安井武雄と近代の大阪の関係性や、安井作品の特徴など多岐にわたる話題を語り合った。(大阪支社・土居武文)
安井が貫いた作風の多様性
最初のテーマになったのは、安井が南満州鉄道(満鉄)を経て大阪を活動拠点とした経緯。石田教授は「第1次世界大戦による好況に日本は沸き、大阪では特に繊維産業が活況を呈した。無秩序な都市開発を防ごうと都市計画法が1919年に施行された。片岡安が大阪に開いた片岡建築事務所も有能なスタッフが必要となり、安井はこの年に満鉄から引き抜かれ、大大阪の出発点の申し子としてこの地に現れた」と説明。「満鉄は若い国策会社で、仕事のバリエーションは多様。デザインの自由度も高く、デザインの幅を広げるのに役立った」と分析した。
佐野社長は「片岡建築事務所は全国でたくさんの傑出した仕事をした。社会的影響も大きく、そこに入ったことが地歩を固めることになった」との見方を示した。

大阪倶楽部(2017年10月 撮影:淺川 敏 以下2点同)

安井は5年後、「安井武雄建築事務所」を立ち上げる。最初の作品は「大阪倶楽部」(1924年竣工)。佐野社長は「デザインの多様性・複雑性がある。何か論理を超えているような作品。内部は計画論、機能論があり、ソフトマネジメントができている」とし、石田教授は「様式としては南欧風で部分的にはイタリア風。表情の作り方は感覚的かもしれない」「中は部屋から部屋へと移動する人の心の動きを計算したデザイン」「明暗や広い・狭いのバランスが微妙なあやを持って展開している」と評した。

高麗橋野村ビル(2017年10月 撮影:淺川 敏 以下2点同)

1927年には「高麗橋野村ビル」が完成した。佐野社長は「当時、野村財閥を築いた野村徳七氏にお世話になった。日本橋野村ビルもそうだが、近代とバナキュラー(土着の様式)が混じった作品。野村は他財閥への対抗意識もあって、古典様式ではない独自のイメージを持った安井に賭けようとしていた」と解説。石田教授も「賃貸ビルだが不思議な陶器の使い方をし、当時の流線形デザインも多少反映していたと思う。土の匂いもする。野村は清新な企業イメージを安井を通じてアピールしたかったのだろう」と指摘した。

大阪ガスビル(2017年10月 撮影:淺川 敏 以下2点同)

そして「大阪ガスビル」。佐野社長が「安井はいろんなボキャブラリーを持ち学んでいた。世界の動きとリンクしながらつくった」と語ると、石田教授も「水平連続窓のビルは日本では数えるほどしか存在しない。相当思い切った表現をしている。黒と白の配色は縁起が悪いと指摘されたが、時代の状況をよく学び、表現として成り立つと実現にこぎ着けた」と応じた。
同ビルの北半分の増築は佐野社長の父・佐野正一氏が手掛けた。佐野社長は「父は安井が亡くなって増築のプレッシャーに直面した。でも建築家が変わって良かった部分はある。違った角度で取り組んでいいアクセントになった」、石田教授も「南側と北側はよく見ると異なるところはあるが、両者相まって統一の取れた美しさが表れている。幸福な建築物だ」と述べた。
建築は本能の発露
作風の多様性もテーマに。佐野社長が「多様な作風を貫いている感じがする」とし、石田教授は「内発的な表現意欲に基づいて数年単位で変えていった。真の芸術家だと思う」と分析を披露した。
安井の書いた文章はほとんど残っていない。石田教授は「自作について説明する文章が残っておらず、歴史屋泣かせ。ただある年の建築批評が残っている。『建築は本能の発露であるべきなのに、小手先の技法でつくっている』などと記した。建築は内面表現意欲のほとばしりだということではないか」と述べると、佐野社長も「自由様式ということか」と語った。
最後に石田教授が「一個人の内面が最終的に大阪という都市でつながり、結実した。大阪にとって幸福だったし、時代の良さもあったのではないか」と締めくくった。

<以上 日刊建設工業新聞12月8日(金)12面より本文転記>

右:12/1展示室 初日から多くの学生の「教材」にもなっています

以上、内覧会でのトークイベントはメディア向け・関係者限定でしたが、12月26日(火)までの会期中、一般来場者向けに3回の「ギャラリートーク」を開催いたします。
詳細は12月12日の当コーナーでお知らせしていますので、気軽にご参加ください。

 

開催中!展覧会『建築家・安井武雄の創造⼒〜近代⼤阪の精華〜』
■会期・時間/2017月12月1日(金)~26日(火)
平日:9時~20時、土曜・最終日:9時~17時、日曜・祝日:休館
■会場/大阪府立中之島図書館 本館3階 展示室
■入場料/無料

 

(安井建築設計事務所 広報部)

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