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建設通信新聞BIM特集~社長・佐野が語る「顧客と社会にIPDの視点」

5月30日(木)に発刊されました業界紙『建設通信新聞』(第二部)の特集「次世代BIMの道筋~部分最適から全体最適へ」の紙面で、当社社長・佐野吉彦のインタビューが掲載されました。

「日本におけるBIMの普及を先導している」組織設計事務所としての取り組みと今後の展望を語ってほしいという、ありがたいオファーをいただき、取材にこたえました。

以下、日刊建設通信新聞社の了解をいただき、掲載全文を転載させていただきます。業界内でも発展が進んでいるBIMですが、計画から維持管理まで、設計者だけでなく、顧客と社会に有益なBIMになるよう、参考にしていただければ幸いです。

(安井建築設計事務所 広報部)

 

 顧客と社会にIPDの視点

 

日本におけるBIMの普及を先導している安井建築設計事務所は、佐野吉彦社長が、自らBIMを経営改革のツールと位置づけ、事務所全体で取り組んだ結果、顧客の信頼獲得や設計業務の合理化といったメリットを発揮することに成功している。

 取り組みのきっかけとなったのは、米国建築家協会(AIA)の2006年全米大会。BIMは大きく取り上げられ、全米の建築家の関心を集めていた。すでに予備知識を持っていた佐野社長も、その熱気を目の当たりにし、強く印象づけられた。

 そのときBIMに取り組もうと自ら思った一つの理由は、意外にも、「誰でも使えるツールだと実感したこと」だという。「経営を合理化するには、一人ひとりの能力を向上させる必要がある」ためだ。

 事実、安井建築設計事務所では、すでに「全所員によるBIM」に取り組み、モデリング力を高めている。いうなれば、どの打順からでも点が取れる野球、どのポジションでもシュートが打てるサッカーを目指している。

 また、BIMの特長として、意思決定を早めることで、設計作業を合理化し、結果として顧客にもスピード感のある決断を可能にしている。「BIMへの投資に対するリターンは、十分にある」

情報・技術集めリーダーシップ発揮

 一方、コンピューターの使い方としては、自動作図などの方向も存在するが、「建築家の役割として、効率に偏重することなく、個性や創造性を失わないように努め、街全体の建築レベル維持に努めたい」とも。

 もう一つ、導入を決めた理由は、以前から佐野社長が抱いていた、ある思いからだ。

 「設計事務所の生き残りを考えれば、顧客に近いところで、顧客の持つ情報をもとに、いかに適切に判断し、いかに全体のプロセスを統括できるかが重要になる」

 その思いに、BIMの特性が合致した。「コンピューターをうまく活用することで、リーダーシップを発揮していける」と考えたのだ。

 実は、米国の建築家の意識もそこにあった。AIAは当時、IP(インテグレーテッド・プラクティス)を提唱し、情報を集約して統括することを目指していた。

 また、佐野社長の胸中には、技術と情報を集約し、プロジェクト全体を統括していたあるべき建築家像への思いもあった。そうした設計事務所本来の形に戻したいと。ただ、「それには、建築家の責任として、集約した技術と情報を公益につなげる意識が欠かせない。経営の観点で言えば、社会と顧客の信頼がなければ、仕事にもつながらない」とも話す。

 AIAでも、その後、IPをIPD(インテグレーテッド・プロジェクト・デリバリー)と言い換えた。

 「『デリバリー』とは、お客さんに対して、いかにお届けするかということ。つまり、顧客に答えをきちんと示すという過程を概念に加えた。それは、建築家が社会で職能を果たし、機能するということをも意味する、大切な概念だ。そのためのツールとして、BIMが有効になる」

 現在では、事務所の経営方針として、「BIMを活用した顧客と社会に対するIPDの視点」を打ち出している。

 安井建築設計事務所は、FMなど建築の専門能力を生かしたマネジメントビジネスの拡大も進めている。その一環として、「BIMモデルを使った維持管理なども、意思決定や結果のフォローに生かせるため、一つの手段としてあり得る」という。

 

 今後の方針として、「社会にBIMが行き渡る土壌を早くつくりたい。経営者として仕事をしやすい環境をつくるという面もあるが、社会にとっても有益なはずだ」と展望する。

 BIM未経験の事務所経営者への助言としては、「ハードルを高く設定せず、顧客の持つ情報を、正しく施工段階に伝えていくために、必要な情報ボリュームを、各自で考えればいいのでは」と佐野社長。

 さらなるBIMの普及に向けては、ゼネコンやメーカーを含め製図レベルを合わせることが、「次のポイントだ」とみる。

[2013年5月30日 建設通信新聞(第二部) 特集:次世代BIMの道筋 より]

カテゴリー: メディア/技術発信/TODAY

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