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平河町ミュージックス第33回公演御礼

地域との連携や活性化、音楽文化の醸成を目的に、当社安井建築設計事務所も運営に協力している「平河町ミュージックス」。7月10日(金)に2015年春季公演・第33回として筝奏者・福永千恵子さんを迎え、尺八・田嶋謙一さん、三味線・野澤徹也さんとの共演で行われました。

公演のフライヤーでもご紹介の通り、多くの箏奏者は古典や宮城道雄などの近代曲以外に、今日のコンサートの形態に合った作品の創造を現代作曲家に委嘱し、演奏します。そのなかで福永さんほど作曲家たちに深く信頼されている演奏家はめずらしく、2014年夏サントリーホールでのシュトックハウゼン大作の箏パートを務めたほどです。

 「野のうた その一」という曲から始まった演奏でしたが、あらためて箏の音色が日本人の心に素直に響いてくることを実感しました。「野のうた」というタイトルも、民俗の伝承の川の流れの中からききとった「うた」を音という形にされたもの。死者と現生を結びつける精神性の意味あいが含まれていることも感性に訴えかけたのかもしれません。

 

2曲目の「断章Ⅰ」で、尺八の田嶋さんと三味線の野澤さんを招いて、若手お二人の素晴らしいキャリアと実力を紹介され、いくつかの大学で教鞭をとり後進の育成にも力を注ぐ福永さんから、その期待と本日の演奏で共演できる喜びがやさしい口調で語られました。

この演奏では、まず3人それぞれの楽器の伝統的な奏法を否定するかのような音の出し方に驚きました。音本来のエネルギーを見つけるための音の再構築、たたく、こする、さわる、といった奏者のかかわり方から、音の<触感>を捉え直す(音を異化する)ねらいの演奏曲でした。箏もさることながら尺八の呼吸感など、聴衆の耳を音に集中させる力を存分に感じました。

3曲目の箏独奏「うつし」もこのときが初演で、作曲された一柳彗さんも客席から笑顔で讃える場面もあり、平河町ミュージックスのミッション「音の実験~初の試み」を体感できる貴重な時間でした。

 

4曲目の箏独奏「青色青光/黄色黄光/赤色赤光/白色白光op87」は、極楽国土の七宝の池に浮かぶ蓮華をインスパイアして生まれた曲。青・黄・赤・白の蓮華とそれぞれの色を放つ光が、あるがままの光景と自然そのものを表し、微妙(みみょう)でよい香りを放つことを音に重ね合わせてイメージされたもの。香りと同様、振りまかれては消える音もまた、空間に、人の心に、残響・残り香として積もっていくと。箏と十七絃箏の二種類を操り、音の「堆積」をより深いものにしていました。

こうした「音」が空間や人の心にあたえる影響は、「建築」にも似た役割やチカラがあるのではないかと勝手な連想を思い巡らし、興味深い1曲でした。

最後の「さらし幻想曲」で再び尺八と三味線とが交わり、互いの旋律を追い、重ねる。スピードと緊張感が表現された曲でした。

今回の演奏で印象的だったのは、福永さんのトークで何度か聞いた「若い二人の力を借りて頑張って演奏します」という言葉でした。第一線で活躍される福永さんからの控え目な言葉でしたが、それを笑顔でうなずき、真剣なまなざしで演奏に取り組む田嶋さんと野澤さんからは、現代邦楽を次代にしっかり継承していく意志を感じるものでした。

演奏後に楽器や楽譜を眺めることができるのも平河町ミュージックスの楽しみ。

演奏後に楽器や楽譜を眺めることができるのも平河町ミュージックスの楽しみ。

詳しい演奏のようす、レポートは平河町ミュージックスのWEBサイト・スタッフBlogにアップされています。どうぞご覧ください。

また、平河町ミュージックスは来季も継続し、2015年秋季公演の出演者が以下発表されました。

・第34回:9月18日(金)/稲野珠緒(打楽器)

・第35回:10月16日(金)/荒井英治(ヴァイオリン)

・第36回:11月20日(金)/アリュール(女性ア・カペラ アンサンブル)

通常の音楽ホールでは味わうことのできない身近な音を感じ、楽器を目の前に見て、公演によっては触れることもできます。

ぜひ会場で、「音と人とのふれあい」をお楽しみください。

(広報部 兼 平河町ミュージックス実行委員会ワーキンググループ)

<平河町ミュージックスのWEBサイト/チケット・お問い合わせ>

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