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あいち小児保健医療総合センター救急棟が完成しました(その2)

2月1日(月)から供用が開始された「あいち小児保健医療総合センター救急棟」。1月24(日)に実施された内覧会の様子、前回の続きから施設の特徴をレポートします。

屋上ヘリポート見学後、再びセンター内に戻って3階へ移動。3階は感染、プライバシー、集中ケア等の多様な状況に対応できる集中治療病棟です。南側にオープンな8病床、北側に個室が8病床、中央にスタッフステーションを設け、診療の効率に配慮して見通し良く、ゆとりある広さを確保しています。

オープン病室8床/ロールスクリーンを開放すると見通しよく、最新の医療機器も並ぶ

オープン病室8床/ロールスクリーンを開放すると見通しよく、最新の医療機器も並ぶ

3階の空間テーマを「空」として虹色のゾーニングを計画。サイン、壁面の色、ブラインドなどの色を統一して診療におけるベッドごとの視認性を高め、患者さんの領域も明確にしています。スタッフステーションはER棟の「大きな木」の枝葉に見立て、壁には小鳥たちが楽しくさえずり、子どもや家族を勇気付け励ます風景が描かれています。

8つのオープン病室は、虹の7色+白=8色に分けられ、プライバシー確保のロールスクリーンもその色に合わせて分かりやすくした

8つのオープン病室は、虹の7色+白=8色に分けられ、プライバシー確保のロールスクリーンもその色に合わせて分かりやすくした

スタッフステーションは見通し良く、モニターでもしっかり管理。柱には「子どもたちを見守る木」のイラスト

スタッフステーションは見通し良く、モニターでもしっかり管理。柱には「子どもたちを見守る木」のイラスト

個室病床の壁は隣室との境を一部大きな扉(引き戸)にし、夜間の2:1看護や集中ケア時に対応できるよう、必要に応じて一体的な病床になるよう工夫されています。

個室病床/隣室と扉をオープンにした状態。奥は閉じた状態。看護師さんから好評の声も聞かれました

個室病床/隣室と扉をオープンにした状態。奥は閉じた状態。看護師さんから好評の声も聞かれました

また、個室の3床(室)は陰圧対応病床で、病棟全体の換気経路とあわせて感染対応を行っています。
こうした小児集中治療室(PICU)が愛知県内・名古屋市に6床しかなかったものが、今回ここに16床でき、愛知県下22床の目標が達成されました。東海3県で初となる「小児救命救急センター」に指定され、高度な小児医療を提供する、重要かつ中心的な施設となります。
次に2階へ移動。2階は増加する手術件数に対応する診療科に特化した手術室・供給廊下型の手術部門を設けています。年間約3000件の手術に対応するため、手術室(7室)は配盤スペースと隣接させる基本プランです。特に1日あたりの手術件数の多い手術室に配盤コーナーが面する配置とし、スムーズな手術を助けます。
また、2階の空間テーマを「森」としてアートワークを展開。プレパレーション(心の準備:子ども向けのインフォームドコンセント)に結びつく手術部門の療養環境を考え、7つの手術室を7つの動物に見立て、扉にはシンボルサインとしてその絵を描き、7つの色で計画しています。

手術室1は赤で扉に小鳥の絵。手術室3は緑で扉にリスの絵が

手術室1は赤で扉に小鳥の絵。手術室3は緑で扉にリスの絵が

本館から手術部へのアプローチ廊下

本館から手術部へのアプローチ廊下

本館から手術部へのアプローチ廊下には、手術室での出会いを予感させるよう壁面装飾を描いています。手術室手前の手術ホールにはプロジェクションマッピングも用意し、そうした一連のアートワークにより、子どもがいちばん不安を感じるであろう手術に対し、心を和らげる多くの仕掛けを施しています。

手術ホールの壁面に投影されたプロジェクションマッピングのアニメーション

手術ホールの壁面に投影されたプロジェクションマッピングのアニメーション

移動のベッドにも小型プロジェクターがセットされ、天井にも投影されます

移動のベッドにも小型プロジェクターがセットされ、天井にも投影されます

この日の見学は地上階まででしたが、地下1階は病院全体の物品供給部門として、中央材料滅菌部門、ME部門、物品管理部門を救急棟に集約配置しています。また、BCP(災害時の医療サービスの継続)の観点としても、電気室、ボイラー室、医療ガス機械室等の主要な設備室を免震構造である救急棟に設置しています。
 
以上、お伝えしました新たな救急棟ですが、これからより一層地域の小児医療の拠点として、ひとりでも多くの子どもたちの体と心の支えになっていくことを願っています。
完成に至るまでたいへんお世話になった関係者のみなさまに心より御礼申し上げます。
 
(安井建築設計事務所 設計担当・広報部)
 
【BIM、FM技術の活用ご紹介】
1-BIMを活用したスタッフヒアリング
現場監理での医療関係者スタッフとのヒアリングにおいて、設計時のBIMデータを継続して活用しました。建築モデルは当社と施工業者にて対応、医療機器・備品のモデルを三重大学加藤研究室に研究・協力いただいています。これらのデータの統合・調整は当社のグループ会社:安井ファシリティーズが対応しました。3Dモデルによるスタッフヒアリングについては三重大学加藤研究室にてアンケート収集とその分析がなされ、その成果は研究として論文にまとめるなど、産学連携によるBIMの普及、発展の機会としても期待するところです。

左:スタッフヒアリングの様子、右:BIMによる3Dモデル

左:スタッフヒアリングの様子、右:BIMによる3Dモデル

2-FMを見据えたPIMシステムの試行
BIMデータによるスタッフヒアリングに引き続き、FM(ファシリティ・マネジメント:施設管理)に結びつく開発を行っています。スタッフヒアリングでの経験をもとに、当社と施工業者、安井ファシリティーズのチーム編成で参画しています。
BIMでのモデリングを一歩超え、写真を活用したPIMシステム(当コーナー:2015年11月2日のレポート参照)としてまとめています。PCをはじめタブレット端末によるモニタリングとアイコンのクリック操作で高い視認性と容易な操作性に結びつけています。施設運用において、誰にでも用意に、理解・操作・更新ができるシステムの試行として同センターに納品しています。

PIMの画面の一例

PIMの画面の一例

 

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