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半田赤レンガ建物を中心に写真家・村井修写真展が開催中

8月9日の当コーナーで「半田赤レンガ建物で、写真家・村井修写真展開催」のお知らせ通り、9月16日(金)より同展覧会がスタートしました。開催2日目となった17日(土)の各会場の様子、村井修氏ご本人も登場されたオープニングレセプションの模様、以下にレポートいたします。

村井修 半田写真展『めぐり逢ひ』ポスター

村井修 半田写真展『めぐり逢ひ』ポスター

まず、会場No-01「半田赤レンガ建物」は今回のメイン会場です。明治を代表する建築家・妻木頼黄(つまきよりなか)の設計で明治31年に建設された旧カブトビール工場だった建物を当社が建物の利活用計画と改修設計に係わり、昨年改修工事が完了、観光施設・市民の活用スペースとして新たな歴史を歩み始めています。ここでは村井修氏の代表的な写真作品、ポスターなどが展示されています。


会場No-02「旧中埜半六邸」(中埜半六家は、ミツカンの創立者である中埜又左衛門と同じく半左衛門家の分家で、江戸から明治にかけて海運業や醸造業で財を築いた半田の富豪)は、NPO法人半六コラボを中心に半六邸の母屋や蔵を再生、維持・活用されているものです。ここの2階4室を使用し、村井修氏の「石の記憶」シリーズや初公開の「位相-大地」(彫刻家・関根伸夫氏/1968年/神戸市須磨離宮公園)などが展示されています。モノクロ中心の写真が和室空間にマッチし、写真の世界感がいっそう引き立っていました。


会場No-03「松華堂ギャラリー」(江戸時代後期に「松屋」という屋号で南知多に開業し、明治30年前半に現在の半田市に「松華堂」として移転した老舗和菓子店のギャラリー)では、2階のワンルーム空間で村井修氏の「パリ 都市の詩学」シリーズなどを展示。「和」の半六邸とは違ったモダンなアーチ型の天井空間にパリの風景写真がよく似合う構成となっています。


会場No-04「街かどサロンかめとも」は、海の見える坂道や鞘(山車蔵)など、古きまち並みが今も残っている半田市北部の亀崎にあります。旧呉服店を改修した「街かどサロン」としてNPO法人亀崎まちおこし会が運営し、当日も小学生女子3人が水を飲みにふらっと立ち寄っておしゃべりを交わすなど、地域の憩いの場として子どもから大人まで、地域に根付いていることが感じられました。ここでは村井修氏の「港町グラフィックス」シリーズを中心に、港町の風景や網や碇・鎖といった漁を想起させる写真が展示され、潮風漂うまちの情景にピッタリのセレクトになっています。


会場No-05「運河沿いアート/キャナル・アート・イベント」は、前述「旧中埜半六邸」の敷地内広場、蔵の壁面に投影スクリーンを設置し、夕暮れ時から各会場で展示されている写真スライドを投影します。半田運河のすぐそばには同様の蔵がたち並び、海運で発展した半田の歴史を感じることができます。


こうして街に点在する会場を巡ってみて、あらためて今回の展覧会「フィールド・ミュージアム」というタイトルの意味を考えていました。会場を巡りながら、山車、海運、醸造・蔵をはじめとした街の風情や魅力が訪れる人々の五感を刺激する。半田の街そのもの、街全体がミュージアムとして新たな出逢いと発見の対象になっていること。
村井修氏が約70年にわたり写真に写し撮ってきた、建築やアート、文化や風土・歴史の変遷を感じ取るとき、フィールドである街の情緒が観る人の視点や解釈にうまく作用し、感性を膨らませます。
点から面の広がり、空間から時間へのつながりと発見。英語タイトルの「CROSSING PATHS」は、そうした「めぐり逢いの交差点」を意味しているようです。
きっとこれまでの展覧会とは異なる「何か」、味わったことのない愉しみを感じ取れるはずです。

 

オープニングレセプションでは、はじめにご長男であるフォトグラファーの村井眞哉氏から、この写真展が実現するまでの経緯が紹介されました。
かねてから父の修氏が郷里の半田市で個展を開きたいという想いを聞いていたところ、ちょうど昨年、半田赤レンガ建物が改修工事を終えたことをきっかけに半田市にプレゼンを行ったとのことです。プレゼンは今回のメイン会場である赤レンガ建物だけに展示するのではなく、半田市内数か所に点在させ、街をめぐりながら鑑賞するという今回のアイデアの原点が込められたものでした。
そこから1年、村井修氏ご本人の情熱と村井作品を愛する関係者の“めぐり逢ひ”が力となり、この展覧会が実現しています。

ご本人の挨拶でも「半田市を拠点に僕の写真を世界に紹介したい。この写真展の実現には、半田市に心から感謝している。」との気持ちを伝えられました。そして展示されている写真の見方を教えていただきました。
「僕のシャッターの音がみなさんにどう響いたか、感じ取って欲しい」と。
当社が半田赤レンガ建物の改修に関わったことから、このような機会にめぐり逢えたこと、たいへん嬉しく感じます。
会期は10月16日(日)まで。建築-写真-まちとの素敵なリレーション。ぜひ足を運んでみてください。

※詳細は村井修-半田写真展実行委員会facebookページ
※この日の会場巡回では、半田市観光課の方に一部解説のご協力をいただきました。同行してもらった半田市観光マスコットキャラクター「だし丸くん」にも感謝です。

◆10月26日(水)追悼

10月23日(日)村井修氏ご逝去の報に接し、ご生前のご功績を偲び、心からご冥福をお祈り申し上げます。

(安井建築設計事務所 広報部)

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