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平河町ミュージックス第43回公演御礼

地域との連携や活性化、音楽文化の醸成を目的に、当社安井建築設計事務所も運営に協力している「平河町ミュージックス」。4月21日(金)に2017年春季公演・第43回として、ソプラノ歌手・工藤あかねさんを迎え行われました。
現代音楽の「声」の可能性を切り拓いてこられた工藤あかねさんは、昨年8月にはサティの交響的ドラマ「ソクラテス」の4役を1人で歌い分け、同時に演じ分けて見事な成果を残しています。公演タイトル『孤独のバベル~身体表現をともなう現代無伴奏声楽曲』が示す通り、声と一緒に身体で演じるという、会場「ロゴバ」をどのように使って表現するのか、開演前から期待が膨らみました。
スタートは、#1-ジョン・ケージ/アリア(1958)。10分間に10種類の声を凝縮させた楽曲。ジョン・ケージといえば「4分33秒」という演奏者が演奏行為を行わない無音の演奏?で有名ですが、ここでも10分間をストップウォッチで計りながら、多様な声が織り成す「時空間」が生まれました。
続く、#2-カールハインツ・シュトックハウゼン/一週間の7つ歌(1986)~では、月曜から日曜、7つの歌の構成を厳格な規定(音と所作)で表現するという「工藤さんの個性」も表現される「演技・演奏」でした。
休憩を挟んで、#3-マウリシオ・カーゲル/バベルの塔(2002)より~では、「バベルの塔の逸話」から、元々人間は1つの言語しか使用していなかったが、人間の不遜から神の怒りに触れ、人々がお互いの意思疎通ができないよう居住地と言語をバラバラにされた・・・。この日は6つの言語で歌い上げられましたが、「悪意に満ちている」サマ、悲哀に満ちた物語を豊かな身体の動きが増幅させる・・・一瞬、現代の世界情勢に思いを馳せる楽曲でした。
そこから最後の#4-シルヴァーノ・ブソッティ/声のための観念的バレエ「涙」(1978)~も同様に、“悲しみ”から「涙」をテーマにした楽曲。その悲しみの表現を会場「ロゴバ」の階段から中2階と、移動しながら「演じる」ようすは、圧巻の表現力でした。

演奏後、来場者と工藤さんとの歓談・交流の場、「音楽教室」も貴重な時間でした。
今回は、「歌と身体表現を連動させ厳格な規定に沿って演奏している」として、演奏中の説明「楽譜は身体表現を図形学的?な矢印記号で動きを表示しています」というのが気になっていました。実際に楽譜を見せていただきましたが、驚きの内容でした。
「#1-ジョン・ケージ/アリア」の楽譜。この用紙1枚の長辺方向が時間軸で30秒の長さ、短辺方向が音の高低を示しているそうです。波打つような声の出し方、ジョン・ケージが10種類の声を色付けしているそうですが、色に対する声質は演者(歌手)が自分で決めて良いそうです。この日の工藤さん、黄色は「ささやく」歌い方だそうです。とても楽譜には見えない「アート作品」のようです。
「#2-カールハインツ・シュトックハウゼン/一週間の7つ歌」の楽譜。左上の小さな「図面」はステージ上の動き、この曲では月曜から日曜まで曜日ごとの立ち位置などを示しているそうです。五線譜の上には「舌打ち」するような発声記号があったり、四角で囲った[60]や[53.5]などはテンポの変化を記しています。
声と身体で演じて「音空間」を創る楽譜、建築に置き換えると「設計図」や「施工図」なのかもしれません。
たまたまでしょうか・・・この日の楽曲を振り返ると、「10分間」や「一週間(7つの歌)」、「6つの言語」など、数字が関係していることに気づきました。数字が持つ規則性や法則性などが、こうした規定に沿った演奏を形づくる上で、まとめやすいテーマなのかもしれません。(勝手な想像ですが・・・)

 

詳しい演奏のようす、レポートは平河町ミュージックスのWEBサイト・スタッフBlogにアップされています。どうぞご覧ください。
また、平河町ミュージックス、2017年春季公演は今後以下を予定しています。
・第44回:7月28日(金)/杜のうた~ハープとバリトンが紡ぐ僕らの物語~
濵野杜輝(バリトン)&太田咲耶(ハープ)&藤川大晃(作編曲)

 

通常の音楽ホールでは味わうことのできない身近な音を感じ、楽器を目の前に見て、公演によっては触れることもできます。
ぜひ会場で、「音と人とのふれあい」をお楽しみください。

 

(広報部 兼 平河町ミュージックス実行委員会ワーキンググループ)

 

※平河町ミュージックスでは、株式会社ファインズサントリーホールディングス株式会社にご協力いただき、その日の音楽に合ったワインをセレクトしています。
◆この日のワイン/ペローロ ロッソ シチリアIGT カゼマッテ 2013

 

<平河町ミュージックスのWEBサイト/チケット・お問い合わせ>

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