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平河町ミュージックス第44回公演御礼

地域との連携や活性化、音楽文化の醸成を目的に、当社安井建築設計事務所も運営に協力している「平河町ミュージックス」。7月28日(金)に2017年春季公演・第44回として、濵野杜輝さん(バリトン)、太田咲耶さん(ハープ)を迎え、「杜のうた~ハープとバリトンが紡ぐ僕らの物語~」のタイトルで行われました。

いずれも、国内外、学生コンクール等でめざましい活躍を見せ、現在も東京藝術大学大学院に在学中の新鋭の演奏家です。また、今回演奏される日本歌曲から、藤川大晃さんがハープとバリトンのために作・編曲されたものが披露され、世界初演の曲もありました。
藤川さんもまた、東京藝術大学大学院の作曲専攻に在籍し、平河町ミュージックスのミッションの1つに「若い音楽家のためのトライアル・勉強の場」を掲げていますが、今回それを実践する新鮮なプログラムとなりました。
スタートは、山田耕筰の作曲でとても馴染み深い「#1-赤とんぼ」で始まり、同じく山田耕筰の作曲、北原白秋の作詞「#2-みぞれに寄する愛の歌」と、しっとりと落ち着いた歌声、美しいハープの音色が会場を包みこみ、一気に聴衆の心を惹きつけました。
濵野さんのMCが入りましたが、とても緊張した様子。用意されていた「気の利いたトーク」もままならず、はにかみ笑いも会場を和やかな雰囲気にしました。初々しさ全開でしたが、続くアイルランド民謡の「#3-庭の千草」、「#4-ダニーボーイ」と、いざ演奏に入るとしっかり歌い上げる実力はさすがです。
ここで太田さんのソロ演奏にバトンタッチ。演奏前には“ハープ講義”を行っていただきました。弦が47本(都道府県と一緒で覚えやすい!)、足元のペダルでシャープ/フラットを操作するなど、意外と演奏が忙しいことを「白鳥は水面下、足をばたつき・・・」を例えに笑いを誘っていました。
「#5-オリエンタルガーデン(Ⅳ:つぼみから開花へ-夏の終わり-夕風/V:開花 -秋、たそがれまで)」のハープソロは、それぞれの季節を感じさせつつ、時折弦を爪弾くアクセントが印象的でした。
再び濵野さんが戻り、次の曲「#6-真白き富士の根」について解説しました。作詞は濵野さんの高祖母(祖母の祖母)である三角錫子さん。明治43年に起きた逗子開成高校の生徒12人を乗せたボートが転覆した事故を機に、当時鎌倉女学院の数学教諭で事故にあった生徒たちとも親しかった三角さんが、インガルスの賛美歌に作詞した追悼歌とのこと。今でも逗子開成高、鎌倉女学院の生徒はじめ、多くの人々に歌い継がれ、濵野さんも「名曲を引き継いで、人生を彩りたい」との気持ちで歌詞6番までを歌い上げました。ハープも鎮魂の音色として見事にマッチしていました。
続いて耳馴染みのある「#7-朧月夜(おぼろづきよ)」、「#8-子守唄」が前曲からのやさしい空気をそのままに、会場を包み前半を終えました。
休憩を挟んで、後半は“世界初演”となる「#9-杜のうた」で再開。詩人、時代、作風も異なっている7つの誌(1-発見/詩 谷川俊太郎、2-海水浴/詩 堀口大学、3-或る風に寄せて/詩 立原道造、4-星の美しい村/詩 鈴木敏史、5-祖母/詩 三好達治、6-さよならの城 /詩 寺山修司、7-目に見えぬ詩集/詩 谷川俊太郎)を濵野さんが選び、1つのストーリーの上に並べて構成し、それに藤川さんが作風を変えて曲付けしたというお二人の共作です。コンセプチュアルな取り組みで、ハープの抑揚ある音色も物語の雰囲気を見事に表現していました。藤川さんも紹介され、3人が拍手を受ける場面も印象的でした。
ここから武満徹の作曲、谷川俊太郎の作詞の2曲が披露され、「#10-ぽつねん」は、「もういいかい?まぁだだよ。」の印象的なフレーズで、おばあさんの孤独と悲哀が表現され、「#11-死んだ男の残したものは」では、死んだ男、女(妻)、子供・・・兵士・・・歴史が残した数少ないものを歌い上げ、未来の平和を願う強いメッセージを感じるものでした。
最後の「#12-島へ」、アンコール「小さな空」は、ともに武満徹の作曲で、前曲に反応するかのように明るく落ち着いた曲調で、海・島~空をシーンに、希望ある未来、童心を想起させる前向きな気持ちになれる曲でした。

緊張の演奏を終えて安堵と満足感?左から濵野さん、藤川さん、太田さん

今回出演の次世代を担う音楽家、名曲を受け継ぐというしっかりとしたビジョンも感じられ、心に響くとても好感をもてた公演でした。
演奏後、来場者との歓談・交流の場、「音楽教室」も貴重な時間でした。

目の前に珍しいハープが。足元のペダルもしっかり確認です

そのほか演奏のようす、レポートは平河町ミュージックスのWEBサイト・スタッフBlogにアップいたします。どうぞご覧ください。
なお、平河町ミュージックスは、これまで年6回公演(春季3回、秋季3回)を基本に開催してきましたが、2017年秋季公演以降は運営形態を変えて継続する予定です。次回は冬の公演を予定しており、出演者等の詳細は決まり次第、平河町ミュージックスのWEBサイトを通じて発表いたします。どうぞご注目ください。

通常の音楽ホールでは味わうことのできない身近な音を感じ、楽器を目の前に見て、公演によっては触れることもできます。
ぜひ会場で、「音と人とのふれあい」をお楽しみください。

(広報部 兼 平河町ミュージックス実行委員会ワーキンググループ)
※平河町ミュージックスでは、株式会社ファインズサントリーホールディングス株式会社にご協力いただき、その日の音楽に合ったワインをセレクトしています。
◆この日のワイン/ロング パドック ピノ グリージョ レッドバンク 2015

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