2021.09.17
構造撮影:黒住直臣
提供:東京都
東京国際クルーズターミナル
建設予定地は東京湾の海の上。水深10メートルほどの海底に、土木工事で鋼管杭を打って人工地盤を構築し、その鋼管杭に合わせて寸分の狂いなく柱を立てて、建物をつくる。
建築は、基礎となる柱を〝地面〟に立ててつくるもの――この常識を覆し、海の上に客船ターミナルを建てるには、土台となる鋼管杭と建築の柱を〝許容範囲はミリ単位〟という誤差内でつながなければなりません。
思案の末、構造設計者が考案したのが、鋼管杭と建築の柱のあいだにセットプレート(SP)というパーツをはめる方法でした。杭と柱のあいだにSPをかませ、位置調整を行った上でコンクリートを打つ。精度を確認しながらコンクリートを打つ作業を繰り返すことで、施工誤差を吸収する接合方式によって、土木と建築の一体型建物は完工しました。
構造設計者が開発したこの接合方法は現在、特許申請中です。