近年世界のクルーズ市場は、客船の大型化に伴ってクルーズ人口が急増し、飛躍的な成長を遂げている。これまで東京では、晴海客船ターミナルが客船の受け入れを行ってきたが、レインボーブリッジを通過できない船舶が増えたため、その外洋側に国際客船ターミナルを建設する運びとなった。 建設地としてレインボーブリッジ周辺には適切な敷地がなく、臨海副都心地域の海上にジャケット工法による人工地盤面を新たに構築し、その上に土木~建築一体の構造でターミナルを建設するという、この規模では日本で類を見ない計画となった。 本建築計画は、様々な大きさの客船に対応するため自由度の高い大空間を持ち、そこで祝祭的なイベントの開催も想定している。外観は、波や船の帆をイメージした大屋根が特徴で、反りを描く深い軒、四周をバルコニーで囲う外観は日本建築を思わせる。 屋根の「そり」は、北面の高い天井から屋内に自然光を豊かに取り込み、同時に夏はロビー内の熱を屋根伝いに誘導して排熱、冬は集熱して空調に取り入れる仕組みを有しており、照明エネルギーと空調エネルギーを抑えた、開放的で快適なロビー空間を実現している。