撮影:エスエス 津田裕之
リノベーション6 山本能楽堂
1927年、大阪の谷町に創設。大阪大空襲で焼失したものの、戦後1950年、全国に先駆けて、船場の旦那衆の力で再建された山本能楽堂。市街地に遺された、伝統的な能舞台を持つ3階建ての木造建築は、2011年、国が進める登録有形文化財を保存活用する初のケースに選ばれました。
大阪の能楽堂は、かつて地域の社交場として機能していたといわれています。この流れを踏まえ、大阪最古の木造の能楽堂の改修に当たっては、地域に開かれた社交場として再生するというコンセプトのもと、木造伝統工法と最新技術の融合を図りました。
能舞台にはフルカラーLEDを採用し、楽屋の2階、3階には新たにライブラリー・資料室を設置。全国の子どもたちに向けた出前公演、体験講座、現代アートとのコラボレーションなど、上方伝統芸能の情報を発信する拠点として、ここから能楽を未来へと継承する取り組みが行われています。
<リノベーションシリーズ>
1 スクラップ&ビルドから、ストック&リノベーションへ
2 40年にわたって積み重ねてきた知見を、将来の設計・改修へとつなぐ
3 守るべきものを守るために、コロナ禍における改修計画
4 築後100余年。リノベーションを経て、まちのシンボルとなった近代化産業遺産
5 建築家・村野藤吾の代表作、目黒区総合庁舎の耐震補強工事が完了