京都競馬場2
――木の質感を活かした大庇とパドックリング
パドック側と馬場側、競馬場には2つの大きなファサードがあります。
来場者を迎えるパドック側で目を惹くのが、大庇とパドックリングです。木と鉄のハイブリッド構造でつくられた大庇は、府産木材を菱格子に組んだ天井裏が京都らしさを醸し出しています。360度どこからでも出走前の馬の姿を眺められるように、周囲をデッキテラスでぐるりと囲んだパドックリングは、今までにない開放的なつくりで、大勢の来場者で賑わう場となっています。
見やすさが最優先される馬場側のスタンドは、屋根を支える柱を建てない25メートルの片持ち梁で視界を確保。200メートルにわたる全面ガラス越しに、ホームストレッチを疾走する馬を見ることができる、全長約225メートルに及ぶ長大なスタンドの意匠は、水平ラインを強調しました。
三冠ゲートには、木造建築の素材として注目されるCLT*1を利用するなど、京都競馬場は要所要所に木材を活かしています。
※CLT(Cross Laminated Timber)=ひき板を繊維方向が直交するように接着した木質系材料。断熱性、遮炎性、遮熱性、遮音性が高く、現在、注目を集める建材のひとつ。
三冠ゲート上屋