JR西日本等が進める「大阪駅開発プロジェクト」の一環、アクティ大阪の増築プロジェクトでもある。東日本大震災でも問題となった長周期地震動は、特に超高層ビルでの「共振」で大きく増幅される。新築ビルでは相応の対策をとれるものの、既存の超高層ビルでは重要な課題となっている。 当社の設計で1983年に竣工した大阪ターミナルビル「アクティ大阪」は建築基準法改正により構造的に既存不適格となったビルにあたり、振動特性の異なる新しい増築躯体と既設躯体とをオイルダンパー(連結ダンパー)で接続する「連結制震」の考え方を採用し増築した。これにより、既設躯体の耐震補強を最小限に済ませることができたばかりでなく、新旧躯体間のエキスパンションジョイントの寸法も450㎜と一般的な寸法の範囲内に設定することができ、長周期地震動を含むさまざまな予測地震動に対して、制振力を高めることを実現した。既存と増築との一体感から、駅の構え・顔づくり、駅前空間の一体性・囲繞感・存在感の創出、駅からまちへの見通しの確保を実現した。特徴ある外観と駅からまちに堂々と出入する歩行者の姿は、駅とまちとの密接な関係を物語っている。