この建築は大坂夏の陣で勝利した徳川家によって埋められた、地中にある豊臣期大坂城の石垣を公開する展示施設である。この展示が、大阪城の歴史の重層性を体感させ、大阪城そのものの見え方を変える仕掛けとなり、来館者に歴史を伝え感動を与える建物として計画した。 地上でのガイダンス後、来館者が地下にある石垣に印象的に出会う仕掛けとして、単に地下に降りるだけではなく、地中に潜っていく没入感を演出するよう、地下へ向かう階段からはすぐに石垣を見せず、また地下の高さにある壁は地層風の仕上げとした。石垣への期待を高め、また石垣に出会った後には様々な角度から石垣を見学できるように空間を形成し、出会いの期待感とその余韻を演出している。 最後に石垣の辿った歴史世界に没入するシアター映像を映し出す空間で、壮大な歴史の重層感を体感できる。展示は一方通行のワンウェイの動線として、展示計画と一体となった施設構成となっている。