台北市第一果菜・萬大魚類卸売市場は台湾最大の卸売市場で、青果・水産ともに全国でも突出して大きな取扱高を誇る。優れた食文化で知られる台湾においてシンボル的な存在である一方、老朽化した施設の建て替えは台北市政府にとって20年来の課題であり、その動向は社会的な注目を集めていた。 建て替えにおいては施設の高層化による売場面積の拡大に加え、「衛生管理」、「物流」、「観光」の3つの機能を飛躍的に向上させる。敷地の周囲を走る高架道路と複数階で直結するなど、建築物の範疇を超えた巨大流通インフラである。 青果棟の屋上は全体が丘のように傾斜した屋上庭園であり、水産棟に導入する様々な観光機能と一体で台北の新たな観光拠点を形成する。最上階の天井デザインは既存建物の屋根形状をモチーフとしたもので、長年親しまれた市場の歴史を継承しつつ、街に新たな市場の存在を知らせるサインになる。 2020年7月1日に開催された開工式には柯文哲台北市長をはじめ多くの関係者が参加し、様々なメディアで中継された。施設の完成は2029年4月の予定。