東京国立博物館 黒田記念館(改修)

東京都台東区

東京国立博物館 黒田記念館

黒田清輝の世界に浸れる記念館への再生

東京国立博物館黒田記念館は、日本近代洋画の父、黒田清輝(1866~1924)の遺産と作品が国に寄贈されたことが契機となり、昭和3年(1928年)に建築家岡田信一郎の設計により竣工した。 登録文化財である建物の耐震・改修設計にあたっては、「原設計者の意図を継承し、次世代へ引継ぐと共に、空間性能と機能性を向上し、“快適安心滞在型”記念館に再生する」ことをテーマに掲げた。 特徴的な外観と空間デザインは基本的に変えず継承し、耐震補強要素は来館者の目に触れない場所に集中して配置。特に展示室は、オルセー美術館の改修に学び、「特別室」の既存空間内側には、『湖畔』や『智・感・情』等の代表作品を美しく見せる有彩濃色の展示壁を付加。「黒田記念室」は創建時の意匠を継承している。 安定した室内温湿度環境の確保のため、外周壁部の意匠に影響の無い範囲で内断熱処理を施し、外壁開口部にインナーサッシを付加するなど、外気流入と結露防止を図った。展示空間の空調も高効率なシステムに改修し、恒温恒湿の環境を省エネ仕様で実現した。 新設の段差解消機や新設エレベーターを経由し、全てのゾーンに車椅子で単独移動できるルートを確保したバリアフリー化、館内トイレもあわせてユニバーサル化を徹底した。 オープンテラスを備えた快適なカフェ空間も新設し、休館日にも単独利用できるゾーニングで周辺地域環境に開かれた施設となった。

建築主
独立行政法人 国立文化財機構東京国立博物館
所在地
東京都台東区
撮影
淺川敏
東京国立博物館 黒田記念館

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