神宮につながる杜の中の競技場としてシンプルな架構美を継承するように、直線部材の組合せや組柱、木組みなどの伝統技術をイメージさせる架構デザインとしている。また、外装の一部に県産の木材を活用し親しみある表情をつくるなど、素材そのものの質感や魅力を活かし、「伊勢」に呼応した外観デザインを目指した。 さらに競技場背後の美しい山並み景観と調和させるために高さを抑えたフラットで軽快な屋根を持ったスタンドとし、ボリューム感を感じさせず、周辺に対する景観インパクトを最小限にしている。このシンプルな同一断面で展開されるスタンド形状が部材の統一化を図り、構造躯体やスタンド段床への合理的なプレキャスト・コンクリートの採用を実現し、品質の向上や環境負荷低減だけでなく、現場作業の省力化や工期短縮など労務事情の影響を抑えることにつながった。