⼤阪⼤学医学部の医学伝習150周年を記念し、岸本忠三⽒の⽀援により設⽴された医学史料館。訪れた⼈々が医学研究や歴史、新しい未来を感じられるよう「研究と歴史の積み重ね」をコンセプトに掲げ、意匠、構造で魅せる空間構成を目指した。 既存建物との調和にも配慮し、ファサードには透かし積みレンガを採用した。レンガはモデリングによる検証も重ね、L型の形状としている。レンガそのものに凹凸をもたせることでひとつひとつが影を落とし、見る角度、時間により建物の印象を変えていく多様なファサードを構成した。既存建物との調和を図りながらも、印象的で新しい景を生み出している。またL型形状は室内へも多様に光を取り入れ、印象的な空間を創出している。 平面計画としては南側に諸室を、北側に共用部をまとめた。地震力のすべてをX・Y方向の耐震壁で処理させることで諸室の柱は鉛直力のみ支持する鉄骨細柱とし、空間を広く活用できるようにした。X方向の耐震壁は各階で平面的にずらした透かし積みの構成とすることで3層のブレースとしても機能させつつ、透かし部分に諸室の出入口等を納めている。