プロジェクトのテーマは『半田の歴史や文化を継承し、まちを元気にする市庁舎』。運河沿いに醸造蔵が建ち並ぶ歴史的な風景が印象的な半田市にふさわしく、庁舎を「現代の蔵」と位置付けた計画コンセプトで設計を進めた。 外観は醸造蔵と調和する黒系で、西日を遮るテラコッタルーバーは、醸造蔵に見られるヨロイ壁や大和塀のような陰影のある表情をつくりだしている。このルーバーや外壁のタイル、舗装面のレンガや瓦など、知多半島の地場産業である焼物素材の採用に配慮している。外構も沿道に対して植栽プロムナード「緑の運河」を設け、まちへの潤いとアメニティをつくり、景観と風土、バリアフリーに配慮した計画としている。 建物は階による明快なゾーニング・動線を構成し、プランも両端コアの柱が少ないオープンフロアで、市民窓口や執務エリアをフレキシブルかつ効率的に配置している。 今後発生が懸念される南海トラフ巨大地震への対応では、免震構造(画期的な「接続型スイッチダンパー」を共同開発)を採用し、津波や台風による高潮の浸水に備えて計画床レベルを上げるなど、災害対策拠点、緊急避難施設として機能する備えを施している。 1階に設けた市民ロビーは、半田の魅力を伝え、市民のコミュニケーションスペースになると同時に、床下の免震装置を覗くことができるなど、防災意識の啓蒙にも役立てている。