敷地は官庁施設が集中し、群馬会館や県庁昭和庁舎など歴史的建造物が保存再生されている地域にある。南側は前橋駅から群馬県庁まで続く豊かなケヤキ並木に面している。 地域材料であるレンガや樹木のモチーフを取込むことで、まちの歴史・文化・自然を受け継ぎ、周辺環境や景観を向上させている。ケヤキ並木側は建物を低層化し、豊かな緑の空間との融合を図りつつ、レンガ積みとすることで、地域景観の連続性に配慮した。高層部は後方へオフセットし圧迫感を低減している。南側足元は透明感のあるファサードにより、ケヤキ並木のオープンスペースと一体になり、まちに潤いと活力をもたらす『開かれた庁舎』を実現している。 前橋は内陸性気候のため夏季は酷暑が続く。レンガに通水し表面から蒸散する際の冷却効果により、歩行者空間にクールスポット(約マイナス3℃)を提供する。更に、このレンガ積みは自然光を拡散し、室内に『こもれび効果』をもたらしている。 設計プロセスでは、初期段階から全分野でBIMを活用し、階高設定、制振構造の検討など、コストパフォーマンスの検証を繰り返し実践してきた。このBIMデータは施工へ引継ぎ、品質面でも大きな効果を得ている。