2017年に創業170周年を迎えた久光製薬が、記念事業の一環として創業の地である佐賀県鳥栖市の九州本社前に企業ミュージアムを計画。創業から現在に至るまでの歴代経営者の理念や企業の歴史を展示し、後世に伝える役割を担っている。 200年へと向かい更なる飛躍を目指す企業マインドを建築自体が体現するため、シンプルな矩形のボリュームからガラスの箱が4m以上の片持ち構造で宙に突き出た、浮遊感を感じるデザインとした。「既成の枠から飛び出し、自由に羽ばたく鳥」をモチーフにしたこの造形は、ボイドスラブによる躯体の軽量化に加え、床版や逆梁にPC鋼線を仕込んで緊張することにより4m以上のキャンチレバーを実現、具現化している。 地域・地球環境への貢献を果たすべく、既存樹木を可能な限り保存し、創業からの歩みを見守り続けてきた樹齢170年のエノキを家具として再利用するなど、限りある資源を大切に計画している。 また、全面にLow-Eガラスを採用して熱負荷を大幅に低減。施工会社とも協力し、全館LED照明、空調の細分化、BEMSや各種制御など多くの省エネ技術を導入すると共に、屋根一面に太陽光発電パネルを設置することで、省エネと創エネを合わせて省エネ率103%の「ZEB」を佐賀県で初めて達成、BELSの認証を受けている。