2026/02/18
No. 1004
この春は、BIMで作成した図面で、建築確認を「BIM図面審査」する方式がスタートする。3年後にはBIMデータそのものによる審査へと進んでゆくが、これは日本の建築界にとってはBIMの導入以来のひとつの実現目標であった。準備には丁寧な時間をかけたが、これが円滑に定着するには、しばらく作成側も審査側も慣れる時間が必要かもしれない。まだ、日本あまねくBIMが普及した現況ではないから、新方式は選択肢の一つではあるが、この方式は、BIM推進の背中を確実に押すはずである。
さて、私はこの何年かでBIMの教育と普及の基盤を構築するというテーマに関わってきている。基盤づくりのねらいは、教育機関での専門教育から継続学習に至る幅広い領域をカバー・接続させることにある。設計者や施工者や行政などの実務者に共通した認識の基盤ができれば、BIMを用いた建築生産全体の流れがさらに良くなると考える。
BIMを活用することは、専門家個人においては専門家の創造力と技術力、マネジメント力や社会的責任の向上につながるはず。建築の専門家とは善きBIMの使い手という認識に変わることが望ましい。設計組織におけるBIM活用は共同作業の効率化、設計プロセスの改善に結び付く。とりわけ数値や価値を明らかにするべき環境建築の実現においては、BIMは大きな可能性を宿している。このような視点があるだけに、民間あるいは専門家自身が自らのテーマとして知恵を絞るべきである。
社会全体を見れば、BIMは良好で適正な予算に基づく社会資産形成と産業創造を下支えする。さらに、土木のCIMや国際的なデータ連携といった点は重要であり、大きな構図策定のための官民の適切な協力を期待したい。BIMの歴史がまだ黎明期とすれば、この春を、未来をクリアに展望する季節にしなければならない。
春の扉を開こう/金沢美術工芸大学(設計:SALHAUS)