当たり前のことを守る倫理観を
持っていることが大事

足立 幸多朗
構造部 2009年入社
工学研究科建築工学専攻


足立 幸多朗01

自由曲面建築の造形美に触れて、建築に夢を感じた

建築・設計という分野を志望した動機を教えてください

大学受験時に試験の学科に苦手な国語がない学校を探しているなかで、見つけたのが建築でした。そんな理由から選んだ専攻でしたが、入学後、知り合った友人が建築の展覧会を見ることが好きで、一緒に展覧会に行くなかで造形的にきれいな建築をたくさん見るようになりました。
造形的にきれいな建築にも、そこに至るまでにはいろいろな考えがあることを知りました。中でも、構造体が建物のかたちを象っているものは、設計者の考えるルールに基づき構成されていて、計算により論理的に成り立っている。もともと物理や数学が好きなので、計算の先に答えがあり、それがかたちになるのはすごいなと共鳴しました。
大学2年のときに、自由曲面シェル構造を積極的に取り入れた構造建築家・佐々木睦朗氏の作品を見て、設計の仕事に夢を感じ、こういうものをつくることができればと思ったことが、本格的に設計の道を選んだきっかけです。
どんな形にするかは人それぞれという意味では、答えはひとつではないものの、自分が目指す形に対しては、求める答えがひとつになる。その辺りが明快で、曖昧さがないのが構造設計のよいところ、自分に合っていると思いました。

入社のきっかけは?

大学3年のときに構造系の研究室に進み、就職活動でも構造設計ができる会社を中心に受けていたのですが、就職試験でお会いした面接担当者のインパクトがすごく大きかったです。構造設計者は、わりとおとなしい人が多くて、ほかの会社の面接担当者の印象はほとんど残っていないなかで、その面接担当者はちょっとハスキーでボリュームのある声で、でもどこかやさしくて。人柄に惹かれて入社したという感じです。


足立 幸多朗02

わかりやすい説明を心がける

最近の仕事について教えてください

新潟市消防局の庁舎を担当しました。一見したところ、あまり特徴的ではないかもしれませんが、4階建ての屋上に50メートルの鉄塔が建ち、かつヘリポートもある地域の防災拠点となっている消防局は、構造的にはメニュー盛りだくさんの建物です。
防災庁舎は堅牢なつくりにしなければなりませんが、屋上に載る鉄塔は軟らかく、堅いものの上に載った軟らかいものは、揺れやすくなります。鉄塔のフレームの鉄骨を増やしていけば、鉄塔の揺れを抑える剛性を確保することはできるものの、鉄骨を入れ過ぎると、見た目がゴテゴテしてしまいます。鉄塔根元のスタンスを広げれば、揺れにくくなるものの、そうすると、今度は隣接するヘリポートの敷地が狭くなるという問題が出てきてしまう。このように制約が多いなかで、鉄塔の揺れを抑えつつ、できるだけスレンダーに見える構造にすることを主眼に設計しました。
現場では、大きな力の加わる庁舎と鉄塔の接合部分のディテールを収めるのに苦労しましたが、結果的にはきれいに仕上げることができたのでよかったです。

設計の仕事をする上で、大切だと思うことは?

構造の多くは隠れてしまいますが、隠れる部分にもお金はかかっているので、そのことを理解してもらえるよう、建築主にきちんと伝える力やコミュニケーション力は必要だと思います。構造設計は専門的な話が多いので、建築主にとっては初めて耳にすることも少なくありません。ここにある一本の柱がどうして大切なのか、この柱を取ってしまうとどうなってしまうのか。感覚的にでもその理由が伝われば、納得できると思うので、構造の役割を知ってもらえるように、打ち合わせの時にわかりやすい資料をつくるといったことは積極的にやっています。
一時期、構造計算の偽装が問題になりました。構造計算の細かいところは、設計担当者レベルでしかわからないこともあるので、やはり設計者は、間違ったことをやってはいけないという当たり前のことを守る倫理観を持っていることが大事だと思います。


足立 幸多朗03

東日本大震災後、圧倒的に増えた免震構造

今後、どんな仕事をしてみたいですか?

初志貫徹じゃないですが、構造体が建物のかたちを象っている、構造体が表に出る構造デザインをしてみたいですね。自由曲面ができればよいですけど、格子状で構造体がきれいに出ているものなどもあるので、構造体を上手く見せる建物を設計したいです。
東日本大震災以降、建築主の意識は明らかに高くなっていて、震災以前と比べると、免震構造の設計が圧倒的に増えています。免震設計の建物は、非免震の建物に比べて、揺れが抑えられることで、家財などもほぼ無損傷で済みます。その性能を理解している設計者としても特に免震構造を勧めたいです。

オン・オフの切り替えはどのようにしていますか?

週末に時々ゴルフやフットサルをしていますが、日常の仕事が忙しいときの気分転換はタバコと晩酌ですね。タバコは社会的には微妙なところですが(笑)、短い時間で気分の切り替えとストレス解消できるのでよいツールになっています。家に帰れば、可愛い娘がいるので、毎日の晩酌と娘の存在で、いろいろなことを引きずらず、翌朝ゼロベースからスタートすることを心がけています。

入社希望者へのメッセージを

仕事は社内外問わず、人ときちんと話ができることが大切なので、誰とでも屈託なくコミュニケーションできる人であれば、それがいちばんだと思います。


足立 幸多朗04

関わったプロジェクト:新潟市消防局・中央消防署
関わったプロジェクト:新潟市消防局・中央消防署
休⽇、家族との外出
休日、家族との外出