三宅 伸幸

設計部

工学研究科建築学専攻

どの建築作品にも感じられる中庸の精神に共感 

建築・設計という分野を志望した動機を教えてください 

小学生のときから近所で建設中の建物を見に行くことが楽しみで、テレビの建物探訪番組などもよく見ていました。設計者を目指して建築学科に入学しましたが、意匠設計を選んだのは、さまざまな思いをかたちにしてゆく作業に魅力を覚えたからです。

最初に入社したアトリエ系の事務所では、幼稚園、児童館など、子どもを対象にした建物を多く担当しました。規模がさほど大きくない建物が中心で、個人の裁量が大きく、多くの設計に関わりました。 

ただ、ひとりでできることは限られています。雑誌やメディアを通じて見ていた大手組織設計事務所の仕事には、総合的なバランス力や緻密さがあり、建築をより突き詰めていると感じ、転職を考え始めました。 

転職先はどのように検討しましたか? 

実は、転職先として当社しか応募しませんでした。当社が手がけた建築は、奇を衒うことなく、かといって、淡白なわけでもなく、どの建物にも秩序のある建物の中に社会に対して何かしらのメッセージを提示する中庸の精神が感じられる点が私自身の建築思想と通じていました。

入社して、まず感じたのは規模の違いでした。担当している病院の仕事は建築主のトップに知事の名前があり、竣工時には新聞で報道されるなど、社会的に意味や価値があるプロジェクトに関わっている実感が持てました。

事務所内に構造、設備の担当者がいて、双方向で議論を積み上げられることも、よりよい建物づくりにつながっていると思います。 

しっかりと対話を重ねることで潜在的な思いを引き出す 

入社後、どんな仕事を担当していますか? 

県の公共事業のあいち小児保健医療総合センターの増改築に関わっています。 

前職で子ども関連施設の設計をしていたことから担当になりましたが、小児医療特有の用語も多く、打ち合わせ後は、逐一ことばを調べていました。病院の場合、患者側から見えるのは表ルートだけです。スタッフ、患者、給食、ゴミ、薬剤、救急など、病院は動線の種類が多くかつ複雑で、部屋の並び方をとっても、何が正解なのか、簡単にはわかりません。建築主と対話を重ね、病院についてより深く学びながら、自分なりの案を提案していました。

設計の仕事をする上で、大切だと思うことは? 

病院の設計を手がけるようになって感じるのは、調整能力の重要さです。病院にはいろいろな部門の方がいます。みなさんからうかがった意見を、自分のなかで統合してまとめるには力が必要です。

そもそも設計とは、人の願いや希望を、建物を通してかたちにする行為です。打ち合わせも事務的にしているだけでは、○○できる部屋、このくらいの広さといった、建築主のなかで顕在化されている条件しか聞き出せませんが、しっかり対話を重ねてゆくと、潜在的な要望が見えてきます。ことばになっていない思いを引き出しながら、いかにスマートに合意形成をしていくか。それが設計という仕事の醍醐味だと思います。 

フランクでフレンドリーな雰囲気 

最近の仕事について教えてください 

市民病院の設計を担当しました。市の中心部にありながら、公園に隣接する立地で、建物から見る外の風景、その抜けのよさを活かそうと、全室に窓がある見晴らしのよい病院を提案しました。スタッフの方の働きやすさ、そして患者さんの豊かな療養環境をかたちにできればという思いで設計しました。

職場の雰囲気を聞かせてください 

名古屋は1フロアということもあって垣根がなく、フランク、フレンドリーな雰囲気です。コミュニケーションも取りやすく、規模的にはベストな職場環境かもしれません。

入社希望者へのメッセージを 

仕事を任せてもらえると同時に、決してほったらかしではなく、わからないことは周囲に聞ける環境があるので、やる気さえあれば力をつけることができる職場です。 

2017.8

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