坂井 章

都市デザイン部

総合政策研究科総合政策専攻









まちへの興味を育んだ、幼少期の海外生活

建築・設計という分野を目指した動機を教えてください

大阪生まれですが、父親の仕事の都合で小・中学校時代をアメリカのボストンで過ごしました。ボストンはまちの中心をチャールズ川が流れていて、ハーバード大学やMITなどがある左岸側の大学街と、中心市街がある右岸側のダウンタウンでは、まちの雰囲気がまるで違います。中でもダウンタウンにあり、どこからでも目に入る超高層ビルには、その建築単体でまちの景色や雰囲気を変える力強さを感じました。

日本のまちとの違いなどにカルチャーショックを受けると同時にまちの構造や成り立ちへの興味を持ったことが、建築の道を目指したきっかけです。建築が川や緑といった自然や周辺の環境と調和しているまちの美しさには、今も憧れを持っています。

入社のきっかけは?

大学3年までは意匠設計を、4年から大学院にかけてはまちづくりを学びました。中山間地域の地方創成をテーマにどういうまちづくりをしたいか。住民の皆さんにリサーチをして、大きな模型などもつくりながら、ビジョンを共有していきました。

都市計画の仕事をしたいと考える中で、手がける建築も大小さまざまなスケールがあり、海外プロジェクトも多い当社に関心を持ちました。また、幼少期からクラシック音楽を習っていたのですが、サントリーホールが当社の設計と知り、ホールの美しさと技術力の高さに興味を持ったことが、入社を志望した理由です。

毎秋、地域で開催される北大江たそがれコンサートにも関わるなど、地域のまちづくりに積極的な事務所であることにも魅力を感じました。

関係者が多い中でいかに対話を進めるか

入社当初はどんな仕事をしていましたか

1年目から去年まで、JR三ノ宮駅の新駅ビルの都市計画業務を担当していました。この仕事は当社が業務を開始して数年間にわたる長い期間を要して都市計画に至ったプロジェクトで、新駅ビルは2029年度に開業予定です。

10~15年かかることも珍しくないように、都市計画は建築の中でもかなりスパンの長い仕事です。早く建物が完成してクライアントに喜んでもらいたい気持ちはありますが、大きなプロジェクトに携わっていることにやりがいを感じています。

最近の仕事について教えてください

京都、仙台、金沢の中央卸売市場の計画に携わっています。卸売市場は、発注者は自治体ですが、使用者は卸売業者、仲卸業者、売買参加者、加工業者、小売業者など個々の会社という特殊な公共建築です。関係者が多い中で、議論を前に進め、使用者の方々に納得していただくために、資料などを作成する際も、それぞれの土地柄やその背景を把握し、反映するなどの配慮をしています。

日本と視点やスケールが違う海外業務

仕事のおもしろさ、やりがいはどんなときに感じますか?

建築設計の仕事は、マニュアルがあるわけではありません。もちろん法律はあり、それは遵守しますが、数年前はこうだったという既存の例とは異なる、新たな別解を導くことができて、かつそれをクライアントの皆さんに賛同してもらえたときに、非常にやりがいを感じます。

去年はバングラデシュが国立大学を新設するにあたって、そのマスタープランの作成を担当しました。今年はフィリピン政府の依頼で大規模再開発系の仕事をしています。人口減少に入った日本の都市は、よい意味で成熟社会に入っていますが、両国は今も人口が増加中で、たとえば延べ床面積も何十万m² という、日本ではなかなか経験できない規模の建築提案を求められるように、エネルギーに溢れています。日本のクライアントとの視点の違いなども、仕事をしていておもしろいところです。

職場の雰囲気を聞かせてください

職場はやわらかい雰囲気で、入社1年目でも自分からコンペに参加したいと挙手すれば、受け入れてもらえます。若手にも意見を求めてもらえるので、新しいことにチャレンジしやすい会社です。

入社希望者へのメッセージを

建築設計から都市計画、海外の大きなマスタープランまで、守備範囲の広い会社です。どんなことにでもチャレンジできる人、探求心のある人と一緒に仕事ができればと思います。

2023.9

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