高 凱
国際部
建築工学科建築工学専攻
ハルビンで育ち、建築への興味を抱く
子どもの頃の夢は何でしたか?
生まれ育ったハルビンは、東方の小パリ、小モスクワという美名を持ち、市内は西洋風、ロシア風、日本風の建物が建ち並ぶ美しい街です。毎年、冬に開催される氷の祭りの期間中、氷の彫刻と異国風の建物が融合した街並みの素晴らしさに感動した私は、いつか自分でも建物をつくりたいと、建築に興味を持つようになりました。
まだ中国に建築雑誌や専門書が少なかった学生時代、大学の図書館にあった海外の建築雑誌が『新建築』です。丹下健三氏や黒川紀章氏の作品を見ながら、”いつか自分も日本で建築を”という気持ちが募り、中国の設計事務所で仕事をしたのち、日本の大学院に留学しました。
入社のきっかけは?
来日後、私が興味を持った建築作品の多くを安井建築設計事務所が手がけていたこともあり、大学院の教授に相談すると、”日本で設計・建築の仕事をしたければ、(安井は)規模も大きいし、いろいろな仕事をするチャンスもあると思うよ”と勧められたのがきっかけです。
医療・福祉施設の建築を運営ノウハウを含めて提案
入社当初はどんな仕事をしましたか?
再開発のタワーマンションや特別養護老人ホーム、住宅などの設計を担当したのち、現在は国際部に籍を置いています。2000年前後は、ちょうど北京オリンピックや中国で初めての万国博覧会、上海万博の開催が決まり、中国に対する世界の関心と同時に、中国国内での建築需要が高まっていた時期でした。会社が積極的に中国のプロジェクトへの参画を進めるなか、その担当者として、大連理工大学ソフトウェア学院や大連桃源山荘などのプロジェクトに関わってきました。
最近の仕事について教えてください
海外の仕事は規模が大きいので、現地の企業と組んで進めていきます。私は企画段階から関わっているので、現地調査などを通じて情報収集を行い、その内容を会社に報告し、社内でチームをつくるというのが、仕事の大まかな流れです。中国には、ほぼ毎月出張で足を運んでいます。
国際部の仕事は、台湾、ベトナム、ミャンマーなど、東南アジア全般へと広がっていますが、最近、増えているのは福祉関連の仕事です。中国やアジアでも、経済発展と同時に日本同様、高齢化が急速に進んでいますが、現地はまだ、医療・福祉制度が整っていません。当社では、政府や民間企業の依頼を受け、高齢者介護施設の運営ノウハウといったソフトの部分も提供しています。
仕事のおもしろさ、やりがいはどんなときに感じますか?
中国国内の、大企業の福祉施設を建築する仕事の責任者として、現地の人たちとやりとりしています。医療福祉関連は成長産業で、建物を必要としている人は多く、こうした社会貢献に通じる仕事はやりがいが大きいですね。高齢者の方々と直接やりとりする機会もありますが、みなさん新しい施設に喜んでくれるのも嬉しいことです。
海外で仕事をしたい人には挑戦しがいのある会社
職場の雰囲気を聞かせてください
当社は社長が文化・教育活動に力を入れていて、仕事のつながりから、中国の建築大学で名誉教授を務めています。大連に遺る創業者・安井武雄の建築作品を社長と見に行ったことがあるのですが、1世紀前、異国の地で創業者が設計した建物を目にした社長の感慨深げな表情は、それまで私が見たことのないものでした。
入社後、いちばん苦労したのはことばの面でしたが、設計は図面やパース、模型など、ことば以外にも意思疎通のツールがあるし、社内は専門知識を持っていることに加えて紳士的な人が多いので、サポートしてもらいながら安心して仕事をしてきました。
入社希望者へのメッセージを
国内だけでなく、海外にも拠点を増やしている当社は、さまざまな仕事をするチャンスがあり、海外で設計の仕事に挑戦したい人には向いている会社です。明るく、チャレンジ精神があり、諦めずに自分の作品をつくろうという気持ちを持った人と、一緒に仕事ができればと思います。
2017.7