清原 健史
設計部
環境科学研究科環境計画学専攻
中学時代から「TOTO通信」を愛読
建築・設計という分野を志望した動機を教えてください
建築関係の仕事をしていた母親が、刊行されるたびに家に持ってきてくれた建築家・設計者向けの季刊誌「TOTO通信」を見ることを、中学生の頃から楽しみにしていました。掲載されている建築に衝撃を受け、いつか自分でデザインした空間に住みたいと思ったことが、建築設計を目指したきっかけです。
大学では、当時注目され始めていた環境系の建築科を専攻しました。入学した学校のマスターアーキテクトを務めていたのが建築家の内井昭蔵先生で、大学から見える荒神山に対してコの字型に配置された校舎は、山との関係性のなかで建てられています。環境学は関係学という教えのもと、人ともの、人と自然の関係性から建築を学びました。
入社のきっかけは?
大学院2回生のときに学校で看護学部の建設が始まったのですが、この棟を設計したのが当社でした。もともと自分が生まれ育った関西で建築をしたいという気持ちを持っていたこと、参加していた大学サークル、京都コミュニティ・デザイン・リーグの先輩が当社に入社していたこともあり、数々の縁に運命を感じ、入社しました。
自然とのつながりを心がけて
最近の仕事について教えてください
学校、駅舎、図書館、病院、庁舎、工場など、いろいろな用途の建築を担当していますが、自分のキャリアの半分ほどを占めるのが、大学など学校関係のプロジェクトです。
近畿大学の総合社会学部校舎G館は、緑地に面して計画されましたが、緑と建物を分断せず、外から見た風景として緑地の魅力が感じられるよう、建物と自然をどうつなぐかを考えながら設計しました。大阪総合保育大学は、1935年の創立からの歴史を、ランドスケープのなかで表現しています。
僕は大学時代にランドスケープ・デザインの先生とのよい出会いがあって、ランドスケープと建築のどちらの道に進むか、悩んだくらいどちらも大切に思っているので、つねに自然とのつながりが感じられる建物をつくることを心がけています。
日本の建築は、昔から自然を上手く取り入れてきました。環境への関心が高まる昨今、建築における自然をどう解読するか。そこに個々の設計者の思想が表れると思っています。
設計の仕事をする上で、大切だと思うことは?
最近は建築主が、できるだけ早い建物の完成を求める傾向が強く、わかりやすく効率的な設計が必要と感じています。
さまざまなことが錯綜する社会の要請を反映したうえで、シンプルな回答を出すことは容易なことではありませんが、1人では乗り越えられない壁でも、同じ建物を計画するメンバーで化学反応を起こし、プロジェクトを成功させたいです。
いろいろな経験をミックス、シンクロさせることでよい建築をつくりたい
仕事のおもしろさ、やりがいはどんなときに感じますか?
自分が想像したデザインが、建築主やユーザーなど、多くの人が求める場所として受け入れられたときに、やりがいや建築の価値を感じます。ひとつの分野に縛られず、異なる用途の建築設計をしたいと思っていて、実際、いろいろなプロジェクトを担当させてもらっていますが、それはさまざまな経験がミックス、シンクロすることによって、より人が求める場所ができるのではないかと考えているからです。
設計の仕事は、図面を描く以外にもスケジュールや予算管理など、さまざまな業務があります。そのなかで妥協せず、つねに創意工夫することが、よりよい建築づくりと同時に自分の成長にもつながると思っています。
入社希望者へのメッセージを
入社1年目からメイン担当者という覚悟を持って、自分自身が信じることをやりとげることが大切です。建築には、職人の世界に通じるものがあります。仕事のやり方だけでなく、何を正しいものとして選択するか、そのエッセンスを先輩から盗み、それを単なる模倣ではなく、自分のものにしていくことが大切だと思います。
2017.7
BIM D2S・・・BIMデベロップメント&デザインスタジオ