藤井 裕子
設計部
工芸科学研究科建築設計学専攻
哲学的側面からも建築を考えるおもしろさを学ぶ
建築・設計という分野を志望した動機を教えてください
動物が好きでずっと獣医になりたかったのですが、たまたま見たテレビで、大学院生がまち歩きをしながらフィールドワークをしている様子がとても楽しそうで。美術や理数系が好きだったことに加え、その頃、父親が建てた実家に納得いかない点があり、いつか自分で家を建てたいという思いから、設計者へと志望を変更しました。
入学した京都の大学は、美術や哲学的な観点も含めた建築教育に取り組んでいて、哲学的な側面から建築を考えること、そのおもしろさを学びました。
建築は、そのまち、その場所にあってこそ価値があるという思いから、学生時代に建築家のアルヴァロ・シザの作品を見に、ヨーロッパに出かけたこともありました。建築とまちの関わりは、今も自分のなかでいちばん興味があるところです。
入社のきっかけは?
当社に入社していた研究室のOBの話から、会社によい印象を持っていました。院生のとき、大学の非常勤講師を務めていた社長の授業を受けていて、その人柄を通じて会社に親しみを感じるなど、人との出会いが大きかったです。
設計者を目指したきっかけのひとつは個人住宅でしたが、最終的に興味があるのは公共建築なので、公共的な仕事を多く手がけている点も、会社を選ぶ基準になりました。
部を超えたコミュニケーションができる
入社当初はどんな仕事をしましたか?
東京事務所で学校の設計に関わっていました。入社5~6年目に、担当していたプロジェクトが一時延期になり、名古屋に出向したのですが、その後、希望を出して名古屋事務所へ異動しました。名古屋事務所は1フロアなので、ちょっとした相談や、部を超えたコミュニケーションがしやすいです。
私は育休から復帰後は時差勤務をしていて、時間的制約もあるため、前倒しでの仕事を心がけています。子どもが熱を出すなどの不測の事態に備え、スムーズに業務を進めるためには一緒に仕事をするメンバーとの密なコミュニケーションが大切だと感じています。
仕事のおもしろさ、やりがいはどんなときに感じますか?
建築っておもしろいなと思うのは、関わったみなさんがそれぞれの立場から、”自分がこの建物を手がけた”という意識を持っていることです。たとえば庁舎なら、市長も、各部署の方も、現場の職人さんも、みなさん自分がやったと口にされる。それぞれの自負心から、こうしたことばを聞くと、私もみなさんが誇りに思う建物を設計したいと思います。
建築は、ものとして建ち上がってくること自体にも魅力がありますが、みなさんの思いをかたちにしていくことも、この仕事の醍醐味です。ただ話をしているだけでは出てこないみなさんの潜在的な思いも、こちらの投げかけ方によって引き出されるので、そういった、まだことばになっていない思いを受け止めて、かたちにするために最大限、想像力を働かせることが、設計者の重要な役目だと思います。
配慮が必要なひとたちが、暮らしやすい環境づくりを
今後、どんな仕事をしてみたいですか?
学校の設計と合わせて、今後は福祉や障がいなどに関わる建物の設計に携わりたいです。身近な話でいえば、祖母が入所している施設なども、もっと楽しく、その人らしく生活できるのでは、という思いがあります。
こういうことに目が向いたのは、出産を経験したこともどこかで関係しているかもしれません。産休中に福祉住環境コーディネーターの勉強をしていたので、社会問題により体系的に手を打つためにも、福祉関係の事業者の方と共に、建築を通じてできることをやっていきたいです。
入社希望者へのメッセージを
組織設計事務所といっても、最終的に求められるのはやはり個人の能力です。社長は、建築を通じて社会・地域へ貢献しようという意識が強く、会社で音楽コンサートを主催しているほか、地域のイベントにも積極的に関わっているので、そういうあり方や思想に共感できる人は、そこでもやりがいを持てるのではないかと思います。
2017.8