松島 忍
設計部
工学部都市工学科
BIMに早くから力を入れていたことが、転職の決め手に
子どもの頃の夢は何でしたか?
大学に入学する頃までは宇宙理論物理学者を目指していましたが、物理学者が難しければ、建築の道に進もうと思っていました。祖父が工務店を経営していて、大工さんたちが作業しているのを見て育ち、よく現場にも連れて行ってもらったことが、原風景としてあったと思います。
大学では都市計画を専攻し、都市をデザインするプロセスや合意形成の方法論を学びましたが、自分は細部への興味が強いことに気づき、卒業後、まずはアトリエ事務所に5年ほど在籍した後、1年間カナダのバンクーバーに滞在し、帰国後、個人事務所でインテリアや外構デザインの設計に携わり、当社に転職しました。
転職先はどのように検討しましたか?
アトリエ事務所では建物の設計からインテリア、家具と、細部のデザインへと向かいました。ただそこまで行くと、逆にもう少し大きいものをやりたいと思うようになって転職を考え始めました。
転職先を検討する上で、決め手になったのはBIMです。意匠設計やデザインは、その善し悪しが趣味嗜好で語られがちですが、自分の提案を受け入れてもらうためには、デザイン+アルファがなければ、設計者として生き残るのは難しいのではないか。そう考えたとき、BIMはその武器になり得るだろうと、転職を決めました。
想像を超えたものを提案し、価値を共有したい
入社後、どのような仕事を担当してきましたか?
最初に入ったのは、虎ノ門トラストタワーの計画チームです。大きな建物の仕様を、ある範囲は想定の上で具体的に図面にする必要があったので、ルール化してシステマティックにまとめることを心がけました。
石垣島のリゾートホテル、フサキリゾートヴィレッジでは、今ある敷地の両サイドを開発し、客室棟やレストランの増築、プールの拡張などをおこなっています。この地域は景観条例による制限が厳しく、屋根の赤瓦の形状や、外壁の色などにも指定があるので、伝統的なデザインの特徴を活かしつつ、少しモダンな表現を試みました。
敷地が広く、意匠設計の担当者も複数いる大規模なプロジェクトの場合、調整することが多い反面、いろいろなデザインがあるほうが、施設のおもしろみが出てくるので、多くの関係者を上手くまとめることを自分の課題として、プロジェクト・マネージャーを補佐しています。
仕事のおもしろさ、やりがいはどんなときに感じますか?
設計はそのプロセスにおいて、建築主の希望を少しずつ引き出しながら提案を重ねているので、”そういうものを求めていました”という反応が返ってくるのが、いちばん嬉しい瞬間です。対話のなかで引き出した相手の意図を自分なりに解釈した上で、相手の想像を超えたものを提案する。それが受け入れられて、建物が完成した喜びを建築主と共有できたとき、おもしろさややりがいを感じます。
新しいライフスタイルのあり方を提案したい
今後、どんな仕事をしてみたいですか?
コワーキングやシェアオフィスという流れがあるように、働き方は変わり始めています。今まで内在していた、そして徐々に表面化しつつある課題と向き合い、設計を通じてこれからの時代に合ったライフスタイルを後押しする。建築は、経済的な意味でも人に与えるインパクトが大きいので、社会を変える要因になることを意識して、新たな提案をしていきたいです。
オン・オフの切り替えはどのようにしていますか?
妻とおいしいお酒や料理を食べることですね。自宅で小さなアクアリウムをやっているので、週末はその手入れをしています。自分が意図した水景をつくることは、建築に通じる部分もある気がします。水の音を聞きながら魚や水草をボーッと眺めていると、癒されます。
入社希望者へのメッセージを
新卒入社もキャリア入社も分け隔てなく仕事ができる、やわらかな雰囲気の職場です。建築設計事務所として、今後どう進むべきか、少し先の最善を目指している会社なので、自分がやりたいことを提案すれば、それを実現できる会社だと思います。
2017.8