足立 幸多朗

構造部

工学研究科建築工学専攻

自由曲面建築の造形美に触れて、建築に夢を感じた 

建築・設計という分野を志望した動機を教えてください 

大学受験時、苦手な国語がない学校を探していました。そんな理由から建築を専攻しましたが、入学後、友人と展覧会に行くようになり、造形的にきれいな建築をたくさん見るようになりました。中でも、構造体が建物のかたちを象っているものは、設計者の考えるルールに基づき構成され、論理的に成り立っています。もともと物理や数学が好きなので、計算の先に答えがあり、それがかたちになることに共鳴しました。

大学2年のときに、自由曲面シェル構造を積極的に取り入れた構造建築家・佐々木睦朗氏の作品を見て、設計の仕事に夢を感じ、こういうものをつくりたいと思ったことが、本格的に設計の道を選んだきっかけです。

入社のきっかけは? 

大学3年のときに構造系の研究室に進み、就職活動でも構造設計ができる会社を中心に受けていたのですが、就職試験でお会いした面接担当者のインパクトがすごく大きかったです。構造設計者はわりとおとなしい人が多くて、他社の面接担当者はほとんど印象に残っていないなか、その面接担当者はちょっとハスキーでボリュームのある声で、でもどこかやさしくて。人柄に惹かれて入社したという感じです。

わかりやすい説明を心がける 

最近の仕事について教えてください 

新潟市消防局の庁舎を担当しました。一見、あまり特徴的ではないかもしれませんが、4階建ての屋上に50メートルの鉄塔が建ち、かつヘリポートもある地域の防災拠点である消防局は、構造的にはメニュー盛りだくさんです。

防災庁舎は堅牢なつくりにしなければなりませんが、屋上に載る鉄塔は軟らかく、堅いものの上に載った軟らかいものは、揺れやすくなります。鉄塔のフレームの鉄骨を増やせば、揺れを抑える剛性を確保できるものの、鉄骨を入れ過ぎると、見た目がゴテゴテしてしまいます。鉄塔根元のスタンスを広げれば、揺れにくくなるものの、今度は隣接するヘリポートの敷地が狭くなってしまう。こうした制約のなかで、鉄塔の揺れを抑えつつ、できるだけスレンダーに見える構造にすることを主眼に設計しました。

現場では、大きな力の加わる庁舎と鉄塔の接合部分のディテールを収めるのに苦労しましたが、結果的にはきれいに仕上げることができたのでよかったです。

設計の仕事をする上で、大切だと思うことは? 

構造の多くは隠れてしまいますが、隠れる部分にもお金はかかっていることを理解してもらえるよう、建築主にきちんと伝える力やコミュニケーション力が必要です。ここにある一本の柱がどうして大切なのか、この柱を取るとどうなってしまうのか。感覚的にでもその理由が伝われば、建築主も納得できると思うので、構造の役割を知ってもらえるように、打ち合わせの時にわかりやすい資料をつくることは積極的にやっています。

一時期、構造計算の偽装が問題になりました。構造計算の詳細は、設計担当者レベルでしかわからないこともあるので、やはり設計者には、間違ったことをやらないという当たり前のことを守る倫理観が必要だと思います。

東日本大震災後、圧倒的に増えた免震構造 

今後、どんな仕事をしてみたいですか? 

初志貫徹じゃないですが、構造体が建物のかたちを象っている、構造体が表に出る構造デザインをしてみたいですね。自由曲面ができればよいですけど、格子状で構造体がきれいに出ているものなどもあるので、構造体を上手く見せる建物を設計したいです。

オン・オフの切り替えはどのようにしていますか? 

週末に時々ゴルフやフットサルをしていますが、日常、忙しいときの気分転換はタバコと晩酌ですね。タバコは社会的には微妙なところですが(笑)、短い時間で気分の切り替えとストレス解消できるのでよいツールになっています。家に帰れば、可愛い娘がいるので、毎日の晩酌と娘の存在で、いろいろなことを引きずらず、翌朝ゼロベースからスタートすることを心がけています。

入社希望者へのメッセージを 

仕事では社内外問わず、人ときちんと話ができることが大切です。誰とでも屈託なくコミュニケーションできるとよいと思います。

2017.7

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