伊勢 萌乃

設計部

建築学理工学研究科専攻

面接官に、自分の作品をおもしろいといわれて

建築・設計という分野を志望した動機を教えてください

父親が自営で現場監督の仕事をしていて、小さい頃から壁紙のカタログなどをよく見ていました。こうした環境から建築学科に進学し、大学では歴史研究室で主に近代建築を学びました。歴史のある建築は格好いい、素晴らしい建物が多く、自分でもこうした建物をつくりたいという思いから、あらためて設計者を志した感じです。

所沢聖地霊園や酒田市美術館など、詩情豊かな空間をつくることで知られている池原義郎さんが、いちばん好きな建築家です。

入社のきっかけは?

私の作品をおもしろいといってくださる方がいた設計事務所が安井でした。建築に接したとき、人はどのように楽しい、おもしろいといった感情を抱くのか。そのことに興味があって、卒業制作では「身体性と建築」をテーマに設計しました。

面接で見てもらったのは、A1サイズ4枚を屏風のようにつないだ1つの大きな平面図です。空間全体の流れを感じてもらえればと思っていたのですが、面接官の方が「迫力がある、おもしろい表現の仕方ですね」といってくださって。そのときこの会社なら、自分の強みを活かしながら設計できるのではと思い、入社を決めました。

植物をコミュニケーションの媒介に

最近の仕事について教えてください

都内のオフィスビルの設計に携わっています。建築主に「建物に植物を取り入れたい」という意向があって、バーティカルフォレスト(壁面緑化、垂直の森)を検討しながら設計をしています。

社内で数年前に、カーボンニュートラルや木質化などを検討するチームが立ち上がって、植物と建築の関係に興味があったわたしはそのひとつ、バイオフィリックチームに参加しました。今はこのチームのリーダーとして活動しています。

具体的には、1階の外構部を、まちの人たちとつながりを持てるように緑化する。地下から2階にかけての緑が連続するように、屋内のバーティカルフォレスト計画を検討する。自然光や風が入るテラスに植物を配置する。屋上のエディブルガーデンで収穫したものを1階のキッチンで調理する……といった計画を実践中です。

バイオフィリックチームでは、単に社内の緑被率を上げようというよりも、植物を通じて人と人とのコミュニケーションが生まれ、私たちの生活環境が快適になればという思いで緑化を推進しています。

仕事のおもしろさ、やりがいはどんなときに感じますか?

建物に植物を取り入れることを提案するため、自分の描いたスケッチをお見せしたとき、建築主から「すごくいいスケッチだね」といわれたことがあるのですが、ほめられると嬉しいし、やりがいを感じます(笑)

目下のテーマはバイオフィリックの研究

今後、どんな仕事をしてみたいですか?

いろいろな用途の建物の設計に携わりたいですが、どんな建物にしろ、植物を取り入れることができればと思っています。

建築に植物を取り入れるとプラスαの費用がかかりますし、建築主から「メンテナンスが大変なのでは?」と、いわれることもあります。この分野を研究している先生は、建築に植物を取り入れることがもたらす影響や効果を発表しているので、社内で実証実験を継続しつつ、建物と植物の関係をもっと勉強していきたいです。

職場はどんな雰囲気ですか?

美土代町の新オフィスに移転して以降、さらにそうなっていますが、自分がやりたいと思ったことを実践できる会社です。わたしもバイオフィリックを推進していますが、年齢や経験に関わらず、やりたいと声をあげれば、応援してもらえます。設計事務所の仕事の領域が広がっている中で、建築プラスαの自由研究を試行ができるところが、安井の強みではないかと思います。

入社希望者へのメッセージを

私自身は自分と違う価値観の人と仕事をすると、新たな発見ができておもしろいと考えています。ポジティブな人、話していて楽しい人と一緒に仕事ができればと思います。

2024.11

他のインタビュー