建築から学ぶこと

2012/12/05

No. 353

横浜アーバンスクロール

先週開催された日本建築家協会の大会、正式名「JIA建築家大会2012横浜」は、横浜港に接するBankART Studio NYKを中心に開催された。幾度か訪れたことのあるこの展示会場はもともと大きな空間を持つ倉庫。大会期間中には川俣正展「Expand BankART」が開催されているので、各セッションやウェルカムパーティの会場は川俣のインスタレーションに囲まれるという、不思議な驚きを感じる時間となった。大会での私は国際委員会を取り仕切る立場で、国際会議(米国・タイ・韓国の建築家協会とJIAによるフォーラム)と国内パネラーによるシンポジウムの2つを主管し、国際化をめぐる課題をまな板に乗せる役目があった。

後者のシンポジウムは、「次世代の建築家と技術者を育てるためにー国際的な視点からー」(「外に出よう!建築家」シリーズ・04)という名称を持つ。建築の専門家の活動が国際的な視点抜きでは考えられなくなっているいま、いかにして活動の場を海外に広げるかについて、建築界全体で情報を共有しようとした。招いたのは、建築の各領域で海外業務体験をもつ実務家、学識経験者であり(この日発言を求めたのは春原浩樹、櫻井泰行、布野修司、山木茂、上浪寛、小倉善明、芦原太郎の各氏。進行は私である)、次世代を見据えてのメッセージを発してもらった。

まず、昨年のUIA2011東京大会の継承事業体として、グローバルに活躍する次世代の建築家・技術者の育成を進めている<一般財団法人国際建築活動支援フォーラム(JSB)>の活動の報告。続いてはAPECアーキテクトの経緯と現況レポート、日本建築士会連合会が取り組んできた日韓中建築士協議会での知見をふまえた<建築実務国際ハンドブック>の発刊準備について。日本建築学会の国際的活動の中でのISAIA(アジアの建築交流国際シンポジウム、日中韓で開催)とJAABE(英文論文集)委員会の動きも興味深い。日本の建設業の国際化の変遷が紹介され、JIAは本部支部が任務分担しながら二国間事業連携などを試みている。このような多角的な視点を横つなぎすれば、有効な国際関係基盤はつくれそうである。

そのようにして情報を編集したあとは、近接する横浜の街をウォーキング・スクロ-ル。大会のマップに、地域のJIA会員の推薦による店がプロットされているのは楽しい。人と人、人と街がつながりあいながら快い発見を誘い出している。

佐野吉彦

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