建築から学ぶこと

2024/09/25

No. 935

それは、もうひとつの夏の始まり

日本には四季があると言うが、もはや五季ではないかと、複数の人が記事に書いていた。実際、酷暑の夏は、これまでの夏のイメージとは格段の差があり、しかも長い。近年の感じでは、快い夏は5月から7月の初めあたりまでで、続く2か月は異次元である。今年はそこに線状降水帯がもたらす大きな被害が加わった。4週前の第931回では「酷暑の夏もさすがに出口が見えてきた」と書いたが、実際の出口はかなり遠かった。この傾向は来年以降も変わらないと思われる。

当然、酷暑は地球温暖化に起因しているから、建築的な手法を含めて手を緩めずに防ぎにゆかねばならない。これは<酷暑の要因を断つ対策>というものだが、残念ながらいまの取組み方では進捗をスローダウンできるかどうかである。また、第931回で触れたように、酷暑の夏を健康で過ごすためにもはや空調は不可欠であっても、エネルギー消費には限度があり、省エネと創エネの両面の加速は急務である。これは<酷暑を生き延びる方策>のメニューに整理できるだろう。

もちろん、技術だけでなく、我々の暮らしや働き方の視点でも<酷暑を生き延びる方策>は考えねばならない。もしサマータイムを導入するなら23時間くらいずらしてこそ効果がありそうだ。いっそ7-8月はすべてリモートワークに切り替えるか、週休3日を定着させることも考えられる(それによって不足する労働時間はその他の季節で補填)。以上は地域や企業単位でも実施できるものだが、大胆な策を国や国際協調で進められないものか。たとえば酷暑を理由として学校を9月入学に変えるのは、本末転倒とは言え、年間のエネルギー消費が軽減できるかもしれない(それで夏のスポーツ大会も季節が変わる)。残業時間制限や働き方の選択肢増が、結果的には酷暑の夏を凌ぐ手法としては使えているように、変えてみたらうまく運ぶことはある。

佐野吉彦

灼熱の夏も、そろそろ終わりに。

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