建築から学ぶこと

2014/06/25

No. 430

福知山が生み出す知恵

福知山駅(京都府)の駅前に、福知山市が「市民交流プラザふくちやま」を開設した。4階のうち1・2階が市立図書館になっていて、上階は様々な交流スペース。知的創造のセンターの役割を果たしながら、駅のコア機能を大いに補完しそうだ。蒸気機関車の時代の福知山には機関区があり、全方位に向けての流動拠点であった。高速道路ネットワークが充実した現代にあっても、駅がこの都市の顔であることは変わりないようである。

さて、この施設の大階段の壁面には福知山の年譜が印字されていて、上下しながら歴史を学べるようになっている。ここには明智光秀の時代を経て、1649年から1669年までは松平忠房公が福知山藩主であったとのくだりが記されている。その後この松平家は島原の乱後の安定を図るために島原藩(長崎県)に移り、そのまま幕末を迎えた。私事に関わることだが、佐野家はこの深溝松平家に仕えていた。

そのような経緯があって、今日もこの福知山と島原は姉妹都市である。今も昔も農作物流通の中心でもあるので、福知山はスイーツをこれからの売りにし、島原はそれに海産物を加えて看板としている。実は福知山城天守の再建には島原の本光寺が所蔵していた絵図が役立ったという。また、水害に苦しんだ歴史を持つ福知山は、雲仙噴火に苦しんできた島原と災害経験を共にする。それは今後の日本に向けて結びあうべき知恵である。それぞれの地域の将来のために連携が有効であることを両市は理解しているようだ。

さて先週、建築士法の改正が国会を通過したが、これにより建築士とその資格の社会的な位置づけについて大きな前進が図られた。とりわけ、建築3会(建築士会+建築士事務所協会+建築家協会)がその達成のために連携したことは特筆すべき成果であった。連携した知恵はブレイクスルーを導くのである。

佐野吉彦

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