建築から学ぶこと

2011/06/15

No. 282

活動の潮目が変わるとき

ある目的のために集まった行動体は、どこかで活動の転換を迎える。その時期の課題を達成することができたか、活動の目的を何らかの理由で変える節目に至ったかのいずれかであろうか。構成員にとってはここで活動を終了してもよいはずだが、行動の結果が社会に好ましい成果をもたらしたとなると話は違う。それなら何とかしてでも継続してゆかねばならない。行動体が社会関係資本に育ったからである。そうして会員の範囲を確定し、行動規範を明らかにし、次のミッションを策定しあらたな構成員を加える行動にランクアップする。

最初からNPOを組織して始めてから活性化を試みる組織体もあり、節目を機に自在なグループがNPO化する活動もある(6月11日、平河町ミュージックスには企てから3年目に千代田区から補助金をいただくことが決まり、10年を経てNPOを設立した取手アートプロジェクトは初の総会を開催した。前へと、少しずつ)。組織のそのような変容には意味があるが、形態論はいかようでもかまわない。大事なことは、自主の魂があり、さらに世代を越えて連携・継続しようという意欲があるものには底堅さが育つというところにある。思想のオープンネスはおそらく、活動の健全性を保証するものとなるであろう(第12回で触れた)。

さきごろ文部科学省が大学に対してボランティア活動を単位化してもよいことを示した(4/1)が、この指導にしっくりこないものがあるとしたら、ボランティア=若者=一時的(あるいは成長の過程)と読めてしまうからかもしれない。世代によって活動の守備範囲を固定してしまわないのがよいのである。自主的な活動に取り組んでいる者は、そのあたりの見識を備えておくことが必要である。

佐野吉彦

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