建築から学ぶこと

2015/01/07

No. 456

知恵を共有する円卓、北京にて

師走の北京は薄曇り。ここで「日中・省エネルギー・環境総合フォーラム」(第8回)が開かれた。日中の官民が集まって環境対策を論じあう機会で、開催は2年ぶりとなる。安井建築設計事務所は「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業 中国上海」を日中連携で2014年にスタートしているが、このフォーラムではあらためてこの協働事業の署名式も設定された(他に40件)。会場には500名程の参加者と、両国から多くの報道陣が集まった。日本からは経済産業副大臣、中国は国家発展改革委員会の副主任(内閣府副大臣といった位置)が参加して、ひさびさの大掛かりな日中交流のステージに重みを加えていた。

演壇に立った両国のキーパーソンたちの発言は、当然ながら、世界の環境問題解決に協調してゆこうという話になる。そのために協力関係は多様であるべきだとする。あらたな環境技術育成は両国間だけでなく広範囲に交易を誘い出すであろう。ノーベル賞を受章した天野浩教授も講演に加わり、日本発のLED技術が、今後は医療などへと展開する可能性を語っていた。この場にいるかぎり、日本、特に民間企業にとってはチャンスあり、という手応えを感じる。

この日には「東アジアは一衣帯水」という美しい表現が幾度も使われていた。経済もそうだが、環境こそこのイメージ共有はふさわしい。でも、それだけでは求める成果には達しない。このところ、中国政府は環境規制を強め、効果的に政策を組みあわせる(それは、日本との連携施策も含むであろう)ことで、自国のPM2.5などの課題解決に取り組むだけでなく、国際的に環境技術を引っ張る環境先進国になる可能性を感じさせる。中国には覚悟があるようだ。2015年は、エネルギー・環境面で日本は姿勢と戦略をより明瞭にすべきではないだろうか。

佐野吉彦

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