2006/06/28
No. 39
アートコートギャラリーが主催するArt Court Frontier 2006に出かけた。12名のアート関係者がそれぞれ推薦するイチオシの若手が並ぶ企画。天井の高い個性的な空間に、12の成果が不思議に共存している。第4回の今回、光栄なことに私もひとり推薦することになった。アート関係者に入れてもらうのはおこがましいけれども、その話を受けたとき、即座に、その空間なら大舩真言(おおふねまこと)さんだろう、と思った。
作品「eternal #IV – 闇光」は近作である。左右に長いカンバスに岩絵具などを用いて描かれた、濃色のベースと浮かびあがる光。彼の作品とは、いろいろな場所で向きあってきたが、時に内向性を感じることがあり、時に包み込まれるようなあたたかさを感じる。その多義性は視る者の精神の状態にも由来するが、作品と、それが設置された場所との相互関係にも起因する。
大舩真言さんは、つねに場所というものを意識する人だ。今回も展示される空間との関係性を慎重に見極めて準備を進めたようである。おおきな壁面の下部に作品は位置しているために、少し見下ろす視点になる。これを日本的な視角と彼は説明するが、情緒的なものではなく、この空間を活かすための適切な判断と思われる。
さて、この空間でも、隣接する空間においても、多様な作品がおのおののメッセージを発信している。週末の午後、推薦者=作家のトークが催されたあと、中田泉さんの作品である「UKIMONO」(虫柄の着物)に身に纏ったミュージシャン・PESEPESEが、アフリカンミュージックを奏でた。愉悦。空間を一杯に使った表現を、同じ空間と格闘したアーティストたちが実に楽しく見守っていた。一方でその午後、アーティストたちはぞんぶんに刺激を与えあっていたのであった。