2011/09/21
No. 295
これほどに手間をかけ(手間がかかり)、幾度も分かれ道で考え込みながら丹精こめて準備を整えてきた大会が、いよいよ幕を開ける。感無量である。この大会での見どころを整理してみればまず、国際建築家連合(UIA)が多様な思想を編みあげてきた成果を読みとく楽しみがある(1)。開催される常置委員会(ワークプログラム)は地味ながら豊富な中身がある。大会でのセレモニーを通じて国際建築家連合(UIA)の存在感とクオリティの実感するのも意義がある。アルヴァロ・シザがUIAゴールドメダルを授賞し、記念講演をする2日目(27日)は注目である(2)。主たる講演者、クリストやティンレイ、槇文彦さんらが語る建築観、社会観は分厚いものになる(3)。
大会は、世界に向けてどのようなメッセージを発信することになるだろうか。2日目(27日)の3つのテーマセッションでは、災害を乗り越えて進むために建築家に何が求められるものを解き明かすことになるだろう(4)。若い世代の突破力を見るなら、学生コンペのプレゼンテーション、国際共同ワークショップ(Youth Jamboree)の成果も期待したい(5)。
多くの公募したアカデミックプログラム(デザイン・学術)(6)、さまざまなグループによって企画された展示にこめられている建築の底力は見て飽きない。メイン会場のほか、近隣に見どころは広がっている。その自主的な取り組みは、大会だけでなく、建築界を活気づけることになる(7)。連携して開催される森美術館「メタボリズムの未来都市展」、横浜トリエンナーレなどの展覧会を含めると、大会期間は、都市の潜在的可能性を掘り下げることになりそうである(8)。
それらに増して重要なのは、人と人との交流である。出会うことで生まれる新たな価値と情報。ネットワーキングの機会は至るところに用意をした(9)。多岐にわたる大会の成果とは、この場で得たきっかけを実らせたところに立ち現われるであろう。なお、大会で使用する言語はUIA公式の4ヶ国語(英仏露西)+日本語である。その数に比例して、その実りは世界に広がってゆく。