建築から学ぶこと

2024/11/06

No. 941

スポーツの年、大事なのはこれからだ

今年の日本は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングとマクロミルによる共同調査によると、スポーツ参加市場規模が24.0%増えて1.7兆円に達したという。このうちスタジアム観戦市場だけを見ると57.0%増である。このような伸びは夏のオリンピックと大谷翔平の大活躍が後押ししているようだ。どちらも多様なメディアが日々情報を提供し続けた。確かに、世界の頂点で戦えるレベルの選手が増えた。結果としてオリンピックのうちバレーボールの種目別の観戦率は21.5%増え、MLBのファン人口は23.8%増えている。ちなみに、スポーツに関心があるか、スポーツをしているかなどの関心層調査では5年ほど比率が変わらない。見る層・する層はより本気度が増したが、無関心な30%の層は動いてはいないのが興味深い(もっとも音楽に関心がない層もそのくらいの割合でいるから悲観するほどでもないのだが)。
一方で、今年はスポーツ大会の運営には神経を使った年だったのではないか。オリンピックにロシアほかの姿はないし、開催直前のパリ郊外で鉄道テロの企てがあった。酷暑の懸念は今後ともこの季節に固執する限りついてまわるだろう。日本では真夏の高校野球の運営で、毎年のように手を打ち続けてきた。スポーツには、戦争や難民、環境といった社会課題を乗り越えて人を平和に導く、という希望があってほしい。だからさらなる開催方法の工夫が必要である。
さて、スポーツ施設をめぐる動きでは、「北海道ボールパークFビレッジ(エスコンフィールドHOKKAIDO)」や「長崎スタジアムシティ」といった民間主体によるスポーツ拠点開発が脚光を浴びた。スポーツを手掛かりにした地域開発・雇用創造として、豊かな可能性を感じる。ここに国際的な集客力が加わってくるとさらに面白い。

佐野吉彦

長崎スタジアムシティ

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