2022/11/09
No. 843
プロスポーツを観戦しにゆくと、時期によって興味深い発見がある。たとえば、ルールにおいては、このところ日本でも<ビデオ判定(チャレンジ)>が定着したし、ゲーム中に一息ついて作戦を確認する<タイムアウト>も競技によってバリエーションがある。このような、ルールの進化は見て面白くなるし、選手やチームが最高のパフォーマンスを発揮するためにも有効に働いている。監督やコーチのマネジメント力も試されているだろう。並行してプレイする環境も改善が進んだことを含めれば、国際マッチへの対応である以上に、選手やゲーム関係者の尊厳を高め、安全を守り、モチベーションを高める取組みにつながっている。そうした改善の結果、選手だけでなく、そのスポーツを支える人たちの技術向上も前進していることは確かである。
日本のスポーツの転回点となったのは1993年のJリーグの開幕と言われる。サッカーがきっかけとなって各スポーツに波及したものは、プロリーグ化と、地域との深い関係づくりと言えるだろう。どのスポーツも、次世代の育成(選手向け・一般向け)、サポーター拡大、チームを支えるコミュニティづくりなどに力を入れている。逆から見れば、すでにスポーツのチームは地域社会が活性化するために欠かせないピースになっているのではないか。となると、教育の基盤づくり、定常であるかどうかを問わず流入人口の増大、多客時の人流の円滑化や、災害時の様々な連携といった都市課題は、市民と自治体とチームが連動することで効果を発揮する。
実際のところ、以上のような好ましい流れが生まれたとしても、スポーツを支え続けるのは大きな努力が必要である。おそらく、絶えざる創意工夫がないスポーツは、いずれは見放されてしまうことだろう。