建築から学ぶこと

2006/01/18

No. 17

乗換駅のドラマ

乗換駅というものが好きである。路線はそれぞれ異なる沿線文化を背負って走っているので、乗り換えという行為には必ず新しい発見がある。従って、その乗り換えのポイントが印象的な場面であって悪いはずはない。国内でもかなりの数があるわけだが、そのなかでは赤坂見附(東京メトロ)と大国町(だいこくちょう、大阪市営地下鉄)は興味深い。ここでは2つの路線の電車が外接しあう放物線のように近寄ってきて、同じプラットホームの両サイドに停車する。ここで、乗客は階段を上下することなく乗り換えをおこない、異なるカラーの電車は再びまみえることなく離れて走行を続けてゆく。バリアフリーなポイントであるが、どこかドラマ性を感じさせる場所とも言えよう。

もう少し正確に言えば、こうした乗り換え方式を実現するには、上り下りある線路を一度ほぐして、2つのホームに振り分けなければならない。大国町は2つのホームが横に並列するが、どちらかの路線が他路線を跨ぐことになる。赤坂見附はホームが上下に配置されるため、線路に急勾配がうまれている。けれども、そうやって「土木的な手間」をかけたゆえに、ユニバーサルな乗換えが実現したわけである。そのわりに建築空間に個性が乏しいのはもったいない。ニューヨーク地下鉄の42丁目駅に見るように、各路線のホームが階段を介して迷路のように連なる地下空間には謎めいた魅力がある。少し工夫すればドラマティックな空間がつくれるように思う。

表参道(東京メトロ)は3路線が交わる乗換駅であるが、改札口レベルは立体的に直交する路線の間にサンドイッチされている。その、人の流れがクロスする改札口レベルが、最近<駅ナカ>商業ゾーンに変身した。ホーム階ではないので、乗り換えるべき相手の電車の気配が感じにくく、良くも悪くも鉄道駅くささが薄いが、駅のアミューズメント性を高めたことでは評価できる。

地下鉄での急行運転は多くないし、行く先のパターンも限られる。単純な運行ダイヤであるなら、空間から発するメッセージはもう少し豊かであってよいのではないか。

佐野吉彦

アーカイブ

2024年

2023年

2022年

2021年

2020年

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

2008年

2007年

2006年

2005年

お問い合わせ

ご相談などにつきましては、以下よりお問い合わせください。