2021/07/21
No. 779
2006年の建築士法改正で、建築士には、3年に一度の定期講習の受講が義務化された。当初は急な制定に戸惑う声があったものの、<専門教育>→<実務訓練+資格取得>→<継続学習>という流れに乗ることはグローバルな視点で見ても妥当なことである。私はいくつかの団体でこの定期講習や、同時期にスタートしたCPD制度、大学院インターンシップ(資格要件を得るための実務経験)といったメニューの立ち上がりや定着に力を貸した。私が建築技術教育普及センターを講習機関に選んでいるのは、そこにあった縁を大切にするという理由もあるが、一日かけて集中しにゆくのも頭の整理としては悪くない。
当然、私にも3年に一度、会場で終日テキストに向きあう日がめぐってくる。つい先日の受講を振り返ると、骨格はスタートの頃と大きな変化はないが、3年を経てみると法改正がいろいろあったので、新鮮さはある。<建築基準法>では2018年6月公布の改正があり、「建築物・市街地の安全性の確保」・「既存建築ストックの活用」・「木造建築物をめぐる多様なニーズへの対応」が挙げられている。この法律に強い関連がある建築省エネ法も2019年に改正され、その後のカーボンニュートラルへの社会の取り組みの加速があり、これら環境技術に関わる内容は充実度を増している。建築士と建築士事務所の業務については、<建築士法>の改正が2018年にもあったが、今回は2020年4月から施工された改正民法が少なからず影響を及ぼす記述が盛り込まれている。
このように、受講者は実務での喫緊のテーマを俯瞰できるので、定期的な講習には積極的な価値を見出すことができる。一方で、私はプロとして自発的に学び続ける姿勢こそ重要と考えているので、集中研修よりCPD単位取得の方が趣旨に沿うのではないかとずっと発言してきた。この方策を選ぶ国も多くあり、3年に一度学ぶ以上に、タイムリーに情報を吸収できる機会になるのではと考えるのだが、いかがだろうか。