建築から学ぶこと

2012/02/22

No. 314

音楽で切り出す個人史

今週は少しばかり宣伝めいた話題である。3月3日と10日の2回にわたって東京FMの「プロデューサーの部屋」という番組に登場することになった。旧知の平井洋さんがホストを務める番組に、ゲストとして招いていただいた。クラシック音楽をつくる裏側についてダイアローグしながら好きな曲をかけることができるという、ゲストのわがままが通る時間である(収録は済んでいる)。ちなみにデジタル波の「ミュージックバード」というチャンネル(テレビのCS専門チャンネルなどと同じ有料専門チャンネルのラジオ版)内の4時間×2回という長い番組で、自由度もたっぷりある。もっとも大半は音楽が流れる時間なので、そこまでしゃべったわけではない。

私の回のタイトルは「音楽・空間・建築」。プロデューサー=番組企画者の平井さんとは音楽を通じて昔からつきあいのある同志なので、選曲は両者のこれまでに「またがる」音楽であったり、私が個人の想いから提案した曲であったりする。放送前にネタをあまり開陳するのはほどほどにしておくが、設計に関わっているサントリーホールやカトリック初台教会をめぐっての話題やそれにちなむ曲をいくつか選んである。一緒に運営に携わっているコンサートシリーズ「平河町ミュージックス」についても言及した。

選曲のひとつの傾向はアメリカの20世紀音楽を選んでいることで、ここではチャールズ・アイヴズやサミュエル・バーバーの曲などを紹介する趣向がある。ちなみに、これらは建築をめぐる個人的経験と重なりあっている。はじめてニューヘブンにルイス・カーンを見に行ったときに、広場で催されていたフェスティバルが、まさにアイヴズの描く情景であったこと。アメリカの住宅様式の変遷を学んでいたおかげでバーバーの「ノックスヴィル、1915年夏」が立体的に楽しめるようになったこと。そのような個人史は番組で詳しくは語っていないが、音楽にそういうこだわりを持っていたのか、と感じていただければ嬉しいのである。

佐野吉彦

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