建築から学ぶこと

2006/04/19

No. 30

LOHASな都市へ

月刊誌<ソトコト>の5月号の特集は、「歩くから始めるアメリカのLOHAS」。カリフォルニア各地やコロラド州・ボウルダーなどを訪ねながら、アメリカにおける環境思想がどう展開しているのかを紹介している。もっとも、この雑誌のコンセプトは「ロハスピープルのための快適生活マガジン」なので、堅苦しい内容ではない。特集において称えているのは、ストイックさより個人が個人らしく暮らすことの素晴らしさなのである。

LOHAS、すなわちLifestyle of Health and Sustainabilityという言葉も、今やすっかりおなじみになってきた。アメリカには19世紀中盤の社会改革運動、また学生運動を含めた多様な異議申し立てが先鋭的な方法論を整えてきたが、それらがマイルドな装いとなったものがLOHASと言えるかも知れない。そこまで大げさな定義でなくても、と反論されそうだが、こうした経緯をふまえると、LOHASを標榜するには、しっかりした個人の価値観が伴わねばならないようである。

さて、私はこの特集にあるボウルダーという都市を一度訪ねたことがある。このまちの中央を流れる川(ボウルダー・クリーク)沿いに8キロにわたり展開する緑陰は、まさにボウルダーの心豊かさの象徴で、ジョギングやサイクリングなど、それぞれの趣向に従った多様な活動を楽しめる空間となっている。加えてボウルダーはトレッキングやスキーを究める山塊も程近く、スポーツを通じた健康をコアにおいた暮らしぶりが充実している。またここは同時にハイテク都市でもあり大学都市。スポーツを究めるにも研究を究めるにも、お互いのサポート関係が入念に整備されているのである。すなわち、良い意味で欲張りな価値観を持つ人のために用意された場所と言って良いだろう。まさに、LOHASな都市である。

思うに、人はこれから、もっとそれぞれが個性的であり、もっと多くを望むべきではないだろうか。それによって都市が成熟してゆくのだと考える。

佐野吉彦

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