建築から学ぶこと

2013/11/27

No. 402

災害をめぐる動きの中で

去る11月8日、台風(30号。ハイヤン、ヨランダとも呼ばれる)がフィリピン中部島嶼部を直撃したことは記憶に新しい。レイテ島およびサマール島を中心に、高潮による甚大な家屋流失、少なくとも4000人を越える死者(11/21現在)という災害をもたらした。この時期、COP19(国連気候変動枠組み締結国会議)が開催されており、フィリピン代表のサーニョ氏が涙ながらに異常気象対処の緊急性を訴えたことは印象的であった。ちなみに、この会議の結論は、次期枠組み(2020-)においてはすべての国が自主的な目標を定める方針を決めたことであり、京都議定書に謳われた「排出削減義務」と比べれば後退しているようにも見える。ただ、この合意のもとに「すべての国」が加わるのなら実効性は得られるかも知れない。そのなかで日本がエネルギー政策を含めていかに自律的な環境政策を打ち出せるだろうか。

さて、フィリピン現地では、UAP(フィリピン建築家協会)が同国政府(国立住宅局)や各NGOと連携協議し、仮設住宅建設を進めてゆくようである。アジア各国の建築家協会で構成されるARCASIAでは、活動を開始したばかりのACSR(Committee on Social Responsibility 社会的責任・委員会)が主管となって復興支援を進めながら、災害支援機構(AEA: ARCASIA Emergency Architects)や災害復興基金(ADRF: ARCASIA Disaster Relief Fund)設立を目指し、今後起こりうる災害に対応してゆこうとしている。

日本の建築界がこうした動きに連動してゆくことは重要である。先進国、あるいは災害経験国の専門家として、倫理的かつ技術的な責任(資金提供、技術供与、人的活動支援)を積極的に果たすことは、被災国だけでなく、社会に対するメッセージとして重要であろう。それは復興のプロセスのなかで建築家やエンジニアの存在意義と実行能力を示す機会である。世界至るところにある社会問題に向きあってこそのプロフェッショナルではないか。

 

JIA magazine(日本建築協会会報)297号と298号で「国際関係のなかでのJIA」を掲載しました。

佐野吉彦

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