建築から学ぶこと

2012/06/06

No. 328

役割分担をめぐって

集団や組織は、目標を実現するためにさまざまな役割分担をおこなう。異なる能力を集めることも重要だが、同じ能力であっても異なる能力を発揮させるよう導くことで成果を得ることもできる。能力の高い人ならその期待に応えるけれども、平常からそういう意識で人を育てておくことが基本だ。企業のように価値観が共有できる場合は、いざというときのために準備を重ねておくことが可能である。

それと事情が異なるのが、企業が集まっておこなう団体活動や、国際的な目標達成を目指すようなケースである。前者の場合は、異なる視点が反応しあう面白さはあるので、つい活動領域を広げてしまいがちになるが、うまく進まなければ内部収拾が面倒になる。外交のケースは国としてのプライドがあるゆえに、能力を越えた任務をひとつの国が引き受けてしまうことが起こりうる。いずれも役割分担において手間のかかる例だ。

こういう場合の組織の選択は、得手とする分野、あるいは相手から期待される分野に大きな力を注ぐのが賢明である。たとえば、建築界を見渡して考えてみると、いくつかある建築団体が役割を分担しあうほうが建築界全体として大きな力となる。そもそも同業種内は協力しあうべき関係にあるからだ。それぞれの団体の行動範囲を明瞭で限定的にしておけば、結果として円滑な連携ができ、プロを育てるしっかりとした基盤となるだろう(*註)。

ところで、いまの日本からの国際発信で最も耳目を集めるテーマとは、災害をめぐる、あるいは災害を乗り越える知恵と技術だと思う。このテーマで建築界がうまく分担してみることは、日本の将来のために、また日本のプレゼンス向上にも大きく寄与するのではないか。役割のうまい横つなぎは新たな価値も生みだす。

 

*註:それなくしての団体の統合・連合はうまくゆかない。効率化目的やそれぞれの理念を曲げあう収束では安直だ。

佐野吉彦

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